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「1000円以下で食事できるところがない」昼食はコンビニ・社内食堂に集中=韓国

登録:2025-02-17 10:50 修正:2025-02-18 09:22
[廃業に追い込まれる飲食店]
//ハンギョレ新聞社

 ソウル永登浦区汝矣島(ヨンドゥンポグ・ヨイド)で働くAさんは、最近国会博物館の食堂で昼食を取っている。一般人にも開放されている国会博物館の食堂の食券は5500ウォン(約580円)。汝矣島近くの飲食店でスンデクッパ(腸詰入りのスープご飯)が1杯1万ウォン(約1057円)するのに比べれば、半額程度だ。Aさんは「会社から国会まで歩いて15分かかるが、仕方ない選択」だとし、「最近1万ウォンでご飯が食べられる食堂がほとんどなく、昨年末からは会社の社内食堂の食券も8000ウォンから8500ウォンに値上がりした」とため息をついた。

 食事代が安い国会博物館の食堂は、Aさんのような会社員が多く訪れる。3日午前11時30分頃、社員証を首にかけ一人で来た人や、同じ会社のジャンパーを着た数人のグループで訪れた会社員が少なからず目についた。食堂のスタッフのBさんは「最近は一日平均600~700人が食堂に来るが、このうち400人余りが外部のお客」だとし、「暖かい春になれば、多いときで1000人くらいまで客が増える」と話した。食堂は昨年、国会職員の食券代は値上げしたが、外部客の食券代は据え置きにした。

 経営難で飲食店が相次いで廃業しているなか、会社員らも値上がりした食事代で苦しいのは同じだ。韓国消費者院の価格集計によると、会社員の昼食のメニューで長い間1位を占めてきたキムチチゲの価格は昨年12月、ソウルで8269ウォン(約874円)だった。2020年末の6731ウォン(約711円)から4年間で22.8%も跳ね上がった。ソウルのキムパプ(のり巻き)1本の価格も2638ウォン(約279円)から3500ウォン(約370円)へと32.7%上がった。同期間、大田(テジョン)のキムチチゲの平均価格は6500ウォン(約687円)から9900ウォン約1046円)へと52.3%急騰した。

 キムチチゲやのり巻きなどの食事類と焼酎・マッコリ・コーヒーなどを含む39品目の物価指数(統計庁の消費者物価調査)は、2021年から4年間で21.0%上がった。消費者物価の上昇率全体(14.2%)と比べると、外食物価の上昇幅は約1.5倍。特に外食物価は2021年に農畜水産物価格が急騰しはじめた後、2022年(7.1%)と2023年(6.0%)に上昇幅が目立った。

 外食物価が大幅に上がるのに対し、所得はこれについていけていない。雇用労働部の事業体労働力調査の結果によると、1人以上の事業体労働者の月平均の賃金総額は、2021年から2024年(10月までの平均金額)の4年間に14.9%上がった。同期間の消費者物価上昇率(14.2%)をやや上回っているが、外食物価の上昇率(21.0%)にははるかに及ばない。低賃金労働者に直接影響を及ぼす最低賃金の上昇率も、2021年(8720ウォン)から2024年(9860ウォン)までで13.1%だった。

 食事代の高騰で、会社員たちは財布の紐を締めている。エムブレイン・トレンドモニターが昨年11月に会社員1000人を対象にした「昼食および社内食堂に関する認識調査」では、「コンビニ・スーパーなどで食べものを買って昼食を取る」という回答(複数)が、2021年の22.0%から昨年は30.2%に、社内食堂を利用するとの回答も49.6%から55.2%に増えた。特にコンビニでは簡易食の売上が大きく増えたが、コンビニ側が明らかにした年度別増加率で推算すると、コンビニ「GS25」の2024年の弁当の売上は2020年の3.2倍、おにぎりの売上は2.9倍となった。コンビニ「CU」では、おにぎりの売上げが同期間に2.3倍に増えた。

 食事代を節約する会社員らの努力もむなしく、家計支出で外食費の比重は増えている。統計庁の家計動向調査によれば、2024年の第1~第3四半期の月平均の家計支出359万1252ウォン(約38万円、2人以上の都市世帯基準)のうち、外食費の支出は51万6765ウォン(約5万4600円)で14.4%を占めた。外食費の比重は2020年には12.4%、2022年には13.9%で、増加傾向にある。消費者物価よりも外食物価の方がより高くなり、家計所得の増加幅よりも外食費の増加幅の方が大きくなった影響と分析される。

 このような理由から、労使交渉では賃金に劣らず「食事代」が熱い争点にもなっている。昨年、ソウル地域の大学清掃労働者たちが起こした「2700ウォン食事代引き上げ」闘争は関心を集めた。一食2700ウォン(約285円)程度であるひと月の食事代12万ウォン(約1万2700円)を、さらに2万ウォン上げてほしいという要求だった。「2700ウォンではのり巻き一本すら買えない」という清掃労働者の不満は国民的共感を得て、労使交渉妥結にまでつながった。当時、交渉を進めた公共運輸労組の関係者は「昨年は食費が大幅に上がったので、食事代くらいは上げてくれと要求する組合員が多かった」とし、「食事代問題は国民的に共感をかなり得たようだ」と話した。

 政界でも食事代に税金を課さない、非課税限度の引き上げなどの案が出ている。昨年末にスタートした野党「共に民主党」の非常設特別委員会である「月給防衛隊」は、2022年に月10万ウォンから20万ウォンに上方修正された食事代非課税限度を30万ウォンに引きげることを提案した。「働く市民研究所」のキム・ジョンジン所長は「食事代30万ウォンを支給可能な会社は大企業だけ」だとし、「高物価の打撃が最も大きいのは低賃金労働者という点を念頭に置いて、政府はこのような人々を対象に税制の恩恵を与えたり、最低賃金引き上げを通じて実質賃金を上げる方法などを考えなければならない」と述べた。

キム・ヘジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1182755.html韓国語原文入力:2025-02-17 07:32
訳C.M

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