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韓国の自営業者たちはどこに向かっているのか【コラム】

登録:2024-11-06 07:58 修正:2024-11-06 09:08
//ハンギョレ新聞社

 関連統計が初めて作成された1963年、総就業者数(756万3千人)に占める自営業者の割合は37.2%、賃金を受け取らずに自営業者の事業体で働いている家族や親戚を指す無給家族従事者の割合は31.3%であった。賃金労働者の割合は31.5%にとどまっていた。自営業者と無給家族従事者を合わせた非賃金労働者が68.5%を占めていた時代だ。おおむね自営業者、無給家族従事者、賃金労働者がそれぞれ、働いている人の3分の1を占めていたわけだ。まだ産業化が本格化する前だったため、この時代の自営業は農業などの第1次産業従事者が多かった。

 1970年代以降は製造業を中心として、産業化の進展に伴って賃金労働者が増える一方、自営業者と無給家族従事者は減少をはじめる。都市化も同時に進んだため、自営業者も私たちが今よく目にする小売業、飲食店などの都市型自営業者へと変化していった。

 自営業者の割合は1980年代に入って急速に低下し、1989年(28.8%)には30%台割れ。1990年には28.0%にまで下がる。しかし、その後の製造業の雇用吸収力の鈍化に伴い、自営業者の割合は足踏み状態となり、2000年になっても27.8%を保つ。とりわけ1997年のアジア通貨危機前後には、景気低迷の影響で量産された失業者が自営業入りし、自営業者の割合はむしろ上昇している。

 2000年以降は、自営業者の割合は下落傾向を示してきた。近年はコロナ禍と深刻な内需不振が続き、減少がさらに加速している。今年1~8月の総就業者数(2854万4千人)に占める自営業者の割合の平均は19.7%。無給家族従事者(3.1%)を合わせた非賃金労働者も22.8%にとどまった。異変が起きない限り、今年の自営業者の割合は史上初めて20%を割るとみられる。

 非賃金労働者の割合は大幅に低下したものの、経済協力開発機構(OECD)加盟国平均のおよそ15%と比べると、韓国は今も比較的高い。概して先進国であるほど自営業者の割合が低いことをあげて、「過剰自営業」を構造調整すべきだとする見解もある。問題は、自営業を辞めた人々がどこに向かっているかだ。よりましな所得と労働環境が保障されるよい仕事へと移りつつあるのか。それとも限界を迎えてやむを得ず廃業し、不安定な非正規雇用や失業などへと追い込まれているのか。現在の自営業の構造調整が自営業者の一方的な苦しみの上で行われているとしたら、韓国経済は「先進国型」に近づいていると言って歓迎するばかりではいられないはずだ。

アン・ソンヒ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1165691.html韓国語原文入力:2024-11-04 14:44
訳D.K

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