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韓国与党、憲法裁の権威傷つけ「弾劾審判不服従」露骨に…野党「反国家的」

登録:2025-01-31 08:35 修正:2025-01-31 09:20
クォン・ソンドン、ナ・ギョンウォン、チュ・ジヌが先頭に 
裁判官の資格問題視にとどまらずイデオロギー的レッテル貼りまで
国民の力のクォン・ソンドン院内代表が30日午後、国会で記者懇談会をおこなっている=ユン・ウンシク記者//ハンギョレ新聞社

 与党「国民の力」が憲法裁判所のムン・ヒョンベ所長権限代行ら3人の憲法裁判官の家族や交友関係などを口実に「公正さに問題」ありとして、彼らによる尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾審判の回避を要求した。大統領の弾劾には6人の憲法裁判官の賛成が必要だが、現在「8人体制」となっている憲法裁で3人の裁判官が抜けると弾劾審判が不可能になる。国民の力は、彼らのかかわる憲法裁の決定を「すっきりと承服できるのか」として、弾劾審判の結果に従わないこともありうるとの考えもほのめかした。国民の力の試みる絶え間ない尹大統領罷免の遅延と「憲法裁揺さぶり」に対し、野党は「法治主義を破壊する反国家的妄動」だと強く批判した。

 国民の力のクォン・ソンドン院内代表は30日、国会で記者懇談会を行い、「すべての不公正な裁判の背後には、民主党とウリ法研究会(進歩系の判事による研究会)出身の裁判官たちの政治・司法カルテルがある」として、「ムン・ヒョンベ憲法裁所長権限代行とチョン・ゲソン、イ・ミソンの各裁判官はいずれもウリ法研究会出身で、(尹大統領の弾劾審判の)公正さをめぐって波紋を広げている」と主張した。クォン院内代表は、ムン・ヒョンベ権限代行が共に民主党のイ・ジェミョン代表と司法研修院時代から「兄弟」と呼び合う仲であること▽イ・ミソン裁判官の妹のイ・サンヒ弁護士が民主社会のための弁護士会で尹錫悦退陣特委の副委員長を務めていること▽チョン・ゲソン裁判官の夫のファン・ピルギュ弁護士が弾劾訴追代理人団のメンバーであるキム・イス弁護士と同じ公益人権法財団「共感」で活動していることなどを繰り返し問題視した。

 続いてクォン院内代表は「そのような裁判官が弾劾審判を行った場合、果たして公正性を担保し、すっきりと承服できるのかという観点から見て、この裁判官たちは自ら回避すべきだ」と主張した。3人の裁判官が尹大統領の弾劾審判を回避しない場合、罷免決定が出ても従わない可能性を示唆したということだ。ナ・ギョンウォン議員も前日にフェイスブックで、3人による弾劾審判の回避を主張しつつ、「大統領弾劾も結局は答えを決めておいたうえで急いでいるのがはっきりと見える。このような有様で憲法裁の結論を誰が承服するのか」と述べている。

 国民の力による「憲法裁揺さぶり」は、イデオロギー的レッテル貼りへと拡大している。党の法律諮問委員長を務めるチュ・ジヌ議員はこの日、フェイスブックで、チョン・ジョンミ裁判官は「大韓民国の主敵は北朝鮮かという質問にまともに答えなかった。これらの裁判官の国家観、法意識に寄りかかって大韓民国の未来を決定することが、果たして正しいのか」と主張した。

 これに対し、民主党のイ・ゴンテ報道担当は書面ブリーフィングで、「そのように言うならば、尹大統領とソウル大学法学部の同門である7人の憲法裁判官は全員、裁判から手を引くべきだとなる。いやらしいことこの上ない、極右ユーチューバーと変わりのない情けない主張」だと批判した。また、「(国民の力の主張は)尹大統領の弾劾認容に備えてそれに従わない意図を露骨にあらわにする、法治主義を破壊する反国家的妄動であり、言いがかりだ」と述べた。祖国革新党のキム・ボヒョプ首席報道担当も論評で、「憲法裁を攻撃したからといって尹大統領の明白な違憲犯罪が護憲行為になるはずがない」と指摘した。

チョン・グァンジュン、コ・ハンソル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1180098.html韓国語原文入力:2025-01-30 19:16
訳D.K

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