内乱を首謀した容疑で逮捕された尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、2回目の逮捕状執行を控え大統領警護処の幹部らに「対外的に威力を誇示せよ」と指示していたことが明らかになった。
警護処の現職幹部は16日、ハンギョレの電話インタビューで、「逮捕執行が近づくにつれ漢南洞(ハンナムドン)官邸前に短機関銃などを持った職員の姿が見えたのは、尹大統領の指示に従ったもの」だと語った。尹大統領が11日、キム・ソンフン警護処次長(処長職務代理)、イ・グァンウ警護本部長をはじめとする幹部らとの昼食会で、「高位公職者犯罪捜査処が逮捕を試みた場合、武力を使用することを検討せよ」と指示しただけでなく、外部にもそのような姿を見せて武力を誇示するよう指示したという。捜査機関と警護処の物理的衝突の可能性が提起された中、危機感を高めることで強制捜査の試みの阻止を試みたものとみられる。
同幹部は「その場でイ・グァンウ本部長が(尹大統領の)指示を受け、職員たちに銃ケースも持ち歩いて威力を示すよう指示したという。 VIP(尹大統領)が直接指示したと聞いた」と話した。実際、尹大統領の逮捕が迫った13日、ソウル龍山区(ヨンサング)漢南洞の大統領官邸で、警護処の職員がK1短機関銃で武装した状態で警戒に当たる姿がカメラに捉えられた。これに先立ち、野党「共に民主党」のユン・ゴニョン議員は「キム・ソンフン次長が、マスコミに見られるよう巡察すること、戦術服・ヘルメットなどの服装を着用すること、実弾を含む火器はケースに入れて見えないように携帯すること」を指示したと言ったが、尹大統領本人の意中が反映された「誇示行為」であることが明らかになったわけだ。
「キム・ヨンヒョン(元警護処長で前国防長官)‐キム・ゴンヒ(尹大統領夫人)派」と呼ばれるこれら警護処首脳部が、職員たちの反発にもかかわらず、逮捕が予告された15日未明、叱咤と泣き落としを繰り返し、逮捕の妨害を強要した事実も明らかになった。当時、警護処の職員たちは一致した反対の動きはなかったが、心を一つにして公捜処に道を開けた。
その日の明け方、キム・ソンフン次長は国防部長官公館で待機し、現場出動を拒否する職員たちに「今に見てろ」と脅したり、「どうか出てきてバスの後ろにでも立っていてほしい」と訴えたという。同幹部は「尹大統領の目につく現場に出動してほしいという話だった」と語った。
その後、キム次長が状況室を訪れ、全職員の出勤を指示する非常同報(組織に属するすべての人の携帯電話に命令を下すシステム)を命令したりもした。しかしこの業務を担当する職員がこれを拒否したという。この職員は非常同報の実行を拒否したという理由で、待機発令が予告されたという。
同幹部は「キム次長とイ本部長に対する逮捕状執行が先送りされ、警護処内部は依然として混乱している状況だ。万が一にでも(尹大統領やキム次長らが)戻ってくるかもしれないという懸念もある」とし、「皆、尹大統領の拘束とキム次長らの逮捕状執行だけを待っている」と伝えた。