昨年10月、キム・ヨンヒョン国防長官(当時)が「北朝鮮の汚物風船の状況が発生した場合、原点(風船を飛ばしている場所)を強く打撃する」と話したと、クァク・チョングン特殊作戦司令官(特戦司令官)が証言した。
クァク司令官は14日、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の非常戒厳宣布による内乱容疑の真相究明に向けた国政調査特別委員会」(国調特委)に証人として出席し、野党「共に民主党」のミン・ビョンドク議員の質問に答えこのように明らかにした。
クァク司令官は、非常戒厳宣布前の昨年10月から、隷下の特戦旅団にテロ対応態勢を強調した背景について、「昨年10月頃だったと思うが、キム・ヨンヒョン前長官が『北朝鮮の汚物風船の状況が発生した場合、原点を強く打撃する。合同参謀本部指揮統制室に行って直接指揮を執る』と秘話フォンで話したからだ」と説明した。秘話フォンとは国防部と軍の主要職位者が使うもので、盗聴・録音防止機能を搭載しており盗聴が難しい電話だ。北朝鮮は軍事境界線の北側10キロメートル以上の地点14カ所から南側に向かって風船を飛ばしている。ここをピンポイントで攻撃するためには、大砲やロケット、戦闘機、空対地兵器などで攻撃しなければならず、南北間の局地戦に発展する恐れがある。
その後、クァク司令官は、アン・ギュベク国調特委委員長が「国防部は原点打撃を通じた北朝鮮の挑発を誘導しようとしたという主張は事実ではないと発表した」とし、確認のためにさらに質問すると、「(キム前長官は)確かにそう発言した」と答えた。
クァク司令官は、「特戦司令官が北朝鮮の汚物風船の状況に関連して直接対応したり、何らかの行動をする状況ではなかったにもかかわらず、前国防部長官が電話をしてきてその話をしたため」とし、「その状況に関して何かあるかもしれないと考え、態勢を整えるよう(部下たちに)指示した」と述べた。そして、「キム前長官の電話を受けた正確な時期は覚えていないが、昨年10月初めから中旬前後だと思う」と語った。
カン・ホピル地上作戦司令官も、キム前長官が昨年10月に電話で北朝鮮の汚物風船に対する警告射撃の必要性に言及したと証言した。カン・ホピル司令官は「昨年10月6日頃、キム・ヨンヒョン長官が電話をかけてきて『北朝鮮の汚物風船に警告射撃をする必要があるのではないか』と言ってきたので、『それはだめだ』と答えた」と述べた。さらに「汚物風船が発生したら、合同参謀本部と状況を評価した後、マニュアルどおり対応手続きを守らなければならない」とキム長官に話したことも証言した。
この日、キム・ミョンス合同参謀議長は、当時キム・ヨンヒョン前長官が汚物風船の原点打撃などの作戦を通じて北朝鮮と局地戦を引き起こそうとしたという疑惑について、「軍は戦争を計画するのが基本任務だ」とし、「外患という言葉を使うのは、根本的に軍を無視することだと考えている」と述べた。