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イスラエルが民間人まで無差別攻撃した2023年10月のガザ戦争開戦以降も、韓国は武器販売を中断しなかった。これまで公開された韓国の対イスラエル武器輸出額は、ガザ戦争勃発後7カ月間(2023年10月~2024年4月)で約128万ドル(約17億ウォン)だった。1カ月平均18万ドルの武器を売ったことになる。しかし、今回「参与連帯」が入手した武器輸出額599万9942ドルを1カ月平均に換算すれば74万9千ドルになる。これまで知られていた数値の約4倍だ。
イスラエルに輸出した戦車・装甲車類(HS 8710)も2023年に入って爆発的に増加した。 韓国貿易協会の統計によると、2022年には1万ドル(約1400万ウォン)水準だった戦車の輸出は、2023年に入って83万2千ドル(約11億ウォン)と80倍に跳ね上がった。2024年1~10月の累積値も10万1千ドル。2020年まで輸出がほとんどなかった戦車類は、イスラエルによるガザ侵攻前後に輸出が大きく増えた。
参与連帯平和軍縮センターのイ・ヨンア・チーム長は「国際社会が各国政府に『イスラエルを武装させるな(Stop Arming Isrel)』と呼びかけているのに、韓国はそれを実行に移していない。規模の大小を問わずイスラエルの武装に貢献するのは、それ自体でパレスチナ虐殺を正当化することだ」と指摘した。
参与連帯が入手した統計に関して、防衛事業庁と関税庁は「特定の国に対する武器統計は非公開が原則であるため、確認できない」とハンギョレ21に返答した。
■英独仏「イスラエルに武器販売中止」
もちろん、イスラエルのガザ侵攻に使われる韓国製兵器は、兵器全体の総量に比べれば、ごく一部に過ぎない。現在、イスラエルが使う武器の69%は米国が、30%はドイツが供給している(ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の報告書)。残りの1%の武器をイタリア、英国、カナダ、オランダ、韓国などが供給する。例えば、イスラエルのF35戦闘機の部品を英国とオランダから調達するやり方だ。
ガザ戦争後に出た「国家的良心宣言」は、これらの1%の武器を供給する国が主導した。イタリアとスペイン政府がガザ戦争開戦3カ月後の2024年1月、最初にイスラエルへの武器販売中断を宣言した。2月にはオランダの裁判所がF35戦闘機の部品の輸出を禁止する判決を下した。3月にはカナダ政府がイスラエルへの弾薬供給を止めると同時に、米国に迂回供給される可能性を考慮し、米国との弾薬契約も止めた。9月には、英国とドイツ政府がそれぞれ一部の品目に限り、イスラエルへの武器販売を中止する方針を明らかにした。フランスは2024年6月のラファ空襲以後、イスラエル企業を自国の武器博覧会から排除することにした。裁判所でブレーキがかかったが、エマニュエル・マクロン首相は10月にも「イスラエルへの武器提供をやめよう」と国際社会に呼び掛けた。
もちろん、これらの国は公式宣言とは異なり、依然として一部の武器を密かに輸出しているという報道もある。しかし、何の立場も表明せず沈黙する韓国とは比較の対象にはならない。特に、これらの国の公式宣言には市民社会の影響が大きかった。「故郷では多くの人が日常的にこの戦争を論じ、パレスチナ連帯集会にも数千人が参加しています。おそらく政府はその世論を無視できなかったのでしょう」。23日、ソウル光化門(クァンファムン)で開かれたパレスチナ連帯集会に参加したオランダ人留学生のヨマさんがハンギョレ21に語った。欧州各国の大学では、学生たちがガザ戦争反対デモを行う過程で警察に鎮圧されることもあった。