「キム・ゴンヒ-ミョン・テギュンゲート」の中心人物であるミョン・テギュン氏が2022年6月頃、「龍山(ヨンサン:大統領室)」の指示を受け、独自に世論の動向などを調査し報告するなどの「陰の汝矣島(ヨイド)研究院」を構想したという証言が出てきた。与党のシンクタンクである汝矣島研究院が世論調査と政策開発業務を行うように、龍山直属の陰の組織を作ってこのような業務を担当しようとしたという説明だ。
「キム・ゴンヒ-ミョン・テギュンゲート」の主な情報提供者であるカン・ヘギョン氏は1日、ソウル金浦(キンポ)国際空港近くのあるオフィスで「ハンギョレ21」と行った単独インタビューで、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領就任直後の2022年6月頃、ミョン氏がキム・ヨンソン前議員を電話で怒鳴りつけたことと関連し、「ミョン氏は汝矣島研究院のように独自の調査をして龍山内部の報告用(の資料)を作る龍山のためだけのシンクタンクや研究所のように機能を果たそうとした」とし、「ミョン氏は大統領就任以降も尹大統領と電話で話しており、キム・ゴンヒ女史とは頻繁に電話連絡をしていたと聞いた」と語った。
カン氏は同時期、ミョン氏が「龍山で行う定期世論調査を受け持つ」とし、「龍山で定期的に発注をする予定だが、これは汝矣島研究院のように参考用の独自の調査を行うもので、政治社会関連の業務なので、受け持つことも、作ることも、問題にはならない」と語ったとも証言した。
これに先立ち、野党「共に民主党」が先月31日に公開したミョン氏とキム前議員の2022年6月頃の通話録音によると、ミョン氏は「大統領が自分でやると言っているのに何が問題なんですか。 私が指示を受けたと言っているだろう。オーダー(指示)が下りたって言ったじゃないか。キム・ゴンヒが権力を握っているじゃないですか。権力を握った人がオーダーをしたのに、どうしてあなた(キム前議員)が口をはさむんですか」と言い、キム前議員を怒鳴りつけた。キム女史を通じて尹大統領から世論の動向を把握するため、「秘密裏に」の世論調査を受け持つつもりだったミョン氏が、未来韓国研究所をソウルに拡張して報道機関からも世論調査を受注する正式な研究所として運営する案を構想したキム前議員と衝突したというのが、カン氏の説明だ。特に、キム前議員がミョン氏と相談せず、ソウル中区南大門路(チュング・ナムデムンロ)の未来韓国研究所ソウル支店をこのような構想の前進基地として運営しようとしたため、ミョン氏が怒ったという。
しかし、キム前議員のこのような構想は、龍山側からも拒否されたものとみられる。ミョン氏は当時、キム前元議員との電話で「今日私に電話して尹錫悦が何と言ったか分かりますか。なんで言われた通りにしないんですか」と言い、「報道機関と話を付けて(世論調査の)商売とやらをやってみましょうか。そうしたら、キム・ゴンヒと大統領に何と言われると思いますか」と語ったからだ。
ミョン氏はこの日の電話で、「大統領に、あなたは大統領になったが政権交代によって世論(の支持)が少ないから、ただ受け入れてほしいと言ったらいいんですか」とし、「大統領府(龍山)の地域調査、ARS(自動応答方式)調査、それを受け取らなきゃ。私が利益を残したり、お金を稼いだり、何らかの行為をしたら、代表(キム前議員)は誰からも公認を受けられませんよ」と話した。未公表の世論調査を通じて尹大統領の支持率を補正して報告しており、それがキム前議員の公認と無関係ではないことを示唆する内容だ。
龍山とミョン氏の間でこのようなやりとりがあったことが明らかになれば、尹大統領の違法疑惑は避けられない。憲法学者のイム・ジボン西江大学法科大学院教授は、「(大統領が)世論調査の際、陰の組織を活用して費用を支出したとすれば、目的によっては政治資金法違反と見る余地はある」と語った。
高麗大学法科大学院のイ・ジュ二ル教授も、「就任後、合法的な手続きを経ずに世論調査を行う見返りとして金品や公認権などを提供したのなら、政治資金法違反で弾劾事由になり得るし、公職選挙法上の公務員の選挙介入に当たる可能性もある」と話した。
民主党のカン・ユジョン議員は、「尹大統領が『党内選挙の頃、(ミョン氏との)関係を断ち切ったが、久しぶりに祝意を伝える電話に出た』というチョン・ジンソク大統領秘書室長の釈明が嘘であることが明らかになった」とし、「大統領選挙を経て、未公表の世論調査の力を確認した尹大統領が、就任後もミョン氏を通じて支持率など世論を操作しようとしたのではないか、特検を通じて責任を問う」と述べた。
「ハンギョレ21」は3日、この疑惑と関連して大統領室に釈明を要請したが、大統領室は答弁しなかった。