ネットメディア「ソウルの声」は23日、キム・ゴンヒ女史が候補公認に介入したという趣旨でキム・デナム元大統領室先任行政官が発言している音声記録を公開した。キム元先任行政官は、今年4月の第22代総選挙に出馬したものの、与党「国民の力」から公認候補推薦を得られなかった人物だ。先日、キム女史がキム・ヨンソン前議員の候補公認に介入したと「ニューストマト」が報道したのに続き、キム女史の候補公認介入の可能性を示す音声記録がまたも公開されたことで、疑惑はますます膨らんでいる。
「ソウルの声」がこの日公開した音声記録で、キム・デナム元先任行政官は、ソウルの声のイ・ミョンス記者の電話取材に対し、「イ・チョルギュは龍山(ヨンサン=大統領室)の女史を代弁して公認管理委で働いている」とし、「女史のためにイ・ウォンモ(元大統領室人事秘書官)の一人くらいは何とかして国会議員のバッジを与えようと騒いでいる」と述べている。続いて「イ・ウォンモがそんなに大層な人間なのか。なのに、あんなに慎重に誠心尽くして大騒ぎしているじゃないか」として、「なぜかというと、イ・ウォンモ(の候補公認)が失敗すればイ・チョルギュが飛ばされる(からだ)」と述べている。
続いてイ記者が「キム・ゴンヒ女史が多くの候補公認に介入しているのは確かというわけですね」と言うと、キム元行政官は「しているよ。そのルートがイ・チョルギュだ」と答えている。キム女史が、自身に近いイ・ウォンモ元秘書官を戦略公認するために、「国民の力」のイ・チョルギュ公認管理委員(当時)を通じて候補公認作業をおこなっていた、という趣旨の発言だ。
キム・デナム元行政官は第20代大統領職引き継ぎ委員会の諮問委員、大統領室市民社会首席室の行政官、大統領室市民疎通秘書官職務代理などを務めた後、第22代総選挙で京畿龍仁甲(ヨンイン・カプ)からの与党の公認候補としての出馬を目指したが、イ・ウォンモ元秘書官が優先推薦(戦略公認)されたため苦杯をなめた。キム元行政官は今年2月20日のイ記者との通話の音声録音で、公認直後に異議を申し立てようとしたが、すぐにその考えを放棄したという。「公企業の社長になるか、それとも改めて龍山に入れてくれと言って龍山に入ってまた秘書官の役割をするか、何かの保険をかけなければならないじゃないか」というのが理由だ。実際に同氏は、総選挙時にはイ・ウォンモ陣営で選挙運動を支援しており、現在はSGIソウル保証の常勤監査委員を務めている。
この日午後、キム元行政官は法律代理人を務めるユ・ジョンファ弁護士を通して発表した声明で、「2024年上半期にソウルの声のイ・ミョンス記者と電話した内容に関して、意図的に公認についての虚偽を報じている。(自分は)当時、党内選挙の候補の一人に過ぎなかったため、ソウルの声の主張する公認についての事実は知りえなかったし、知ることのできる地位でもなかった」として、「虚偽を流布するソウルの声、そしてソウルの声の映像を利用して報道する放送に対して、刑事および民事で告訴・裁判を行う」と表明した。
一方、キム女史の党内での公認介入のルートとされたイ・チョルギュ議員はこの日のハンギョレの電話取材に対し、「事実ではない」とこれらの内容を否定しつつ、「(当時、江南(カンナム)から公認候補として出馬することを望んでいた)イ・ウォンモ秘書官を江南から外し、龍仁(ヨンイン)で頑張ってほしいと言って送りだした」と釈明した。