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【現場】「性搾取物が出回っていることを知って退学悩む」韓国で女性たちの怒りのデモ

登録:2024-09-23 01:52 修正:2024-09-23 06:11
「ディープフェイク厳罰要求」6年ぶり恵化駅デモ
21日午後、ソウル地下鉄4号線恵化駅前の大学路で行われた「ディープフェイク性搾取厳罰要求デモ:作った者、売った者、見た者、すべて処罰せよ」集会で、参加者がスローガンを叫んでいる=キム・チェウン記者//ハンギョレ新聞社

 「作った者、売った者、見た者、すべて処罰せよ!」

 21日午後3時、ソウル地下鉄4号線恵化(ヘファ)駅前の大学路(テハンノ)に、黒い服を着て黒いマスクをつけた女性たちが、はるか向こうまで並んだ。数万人の女性が集まった「2018年恵化駅デモ」以来6年ぶりだ。6年前は違法撮影、今はディープフェイク(違法合成)と、スローガンが変わっただけで変わっていない韓国社会の性犯罪に怒る人々が結集した。

 この日、ソウルの6つの女子大学の学生からなる「女性嫌悪暴力糾弾共同行動」の主催した集会「ディープフェイク性搾取厳罰要求デモ:作った者、売った者、見た者、すべて処罰せよ」には、全国から6千人あまり(主催者推計)の女性たちが参加した。大学路の恵化洞ロータリーへと向かう3つの車線を埋め尽くした女性たちの列は、約350メートルに達した。参加者たちは立法を怠った国会、加害者たちに寛大な処罰を下した裁判所、まともな捜査意志を示さない警察などを糾弾した。「違法撮影、n番ルーム、ディープフェイク性搾取に至るまで、いったい国は何をしていたのですか!」、「男性はいつまで女性を、性欲を満たす道具としてばかり扱うのですか。女性の人生は男性のポルノではありません!」 怒りの混じった叫び声があちこちから沸き起こった。

 発言に立った女性たちは、いつでもどこでも違法合成性犯罪の被害者になりうるという恐怖に苦しんでいると訴えた。大学生のAさんは、「男性の学友とグループ課題に取り組んでいる時、彼が加害者ではないかどうか気をつけなければならないような状況だ。教授や警備員などの学内(の男性)構成員全員が気をつけるべき対象」だとし、「(にもかかわらず)うちの大学のエブリタイム(大学オンラインコミュニティー)には『フェミたちがまた暴れている』、『ジェンダー対立を助長するな』というような書き込みが無数にアップされている。被害の拡散を防ぎ、女性が死なないように連帯することがジェンダー対立の助長なのか」と問いかけた。

21日午後、ソウル地下鉄4号線恵化駅前の大学路で行われた「ディープフェイク性搾取厳罰要求デモ:作った者、売った者、見た者、すべて処罰せよ」集会で、参加者たちがスローガンを叫んでいる=キム・チェウン記者//ハンギョレ新聞社

 10代の女性の恐怖も強い。ディープフェイク性犯罪が一種の「遊び」として日常化している学校では、まともな教育や処罰すらなされていないからだ。高校2年生のBさん(17)は、「デモに参加したり舞台に上がったりするのさえ怖かった。でも、一人で悲しんだり怒ったりしているだけでは何も変わらないということに気づいた」と語った。

 慶南女性会のチョン・ジェフン事務局長は、「被害がより深刻なのが地方の子どもたちだ。単一クラスだったり、上級学校が一つしかなかったりするため、被害者と加害者がほぼ6年を一緒に過ごさなければならないからだ。にもかかわらず、きちんとした分離措置がなされていない」とし、「教育の失敗を受け入れ、直ちに加害者を厳罰に処さなければならない」と述べた。警察は今月11日、今年検挙されたディープフェイク性犯罪の被疑者の約80%が10代の青少年だったことを発表している。

 参加者たちは、ディープフェイク性犯罪は新たに登場したのではなく、デジタル技術と共に発展してきた韓国社会の性犯罪の歴史の一断面に過ぎないと述べつつ、これまで国は事実上放置していたと指摘した。デジタル性犯罪の証拠を収集するとともに、警察の捜査に協力してきたグループ「プロジェクト・リセット」は、「韓国社会は『男性は成長過程でそのようなことをすることもある』と言って違法合成犯罪を事実上ほう助してきた」として、「ディープフェイク犯罪は長きにわたるデジタル性犯罪の歴史の一端に過ぎない。注目すべきは、男性の女性搾取がデジタル技術の発展を背景として共に進化してきたということ」と指摘した。

 続いて「女性たちが厳しい闘いを強いられている間、果たして国家機関は何をしていたのか、問わざるを得ない」と述べた。慶尚道の非婚女性共同体「ウィズ」に所属するCさんも、「デジタル性犯罪は単なるいち個人の逸脱ではなく、社会全体が共犯となっている問題」だとして、「米国や欧州のように、政府が先頭に立ってデジタルプラットフォームを徹底的に規制すべき」と指摘した。

 2時間近く続いた集会の間中、女性たちは隣に座った人々と安全を確かめ合い、励まし合った。Dさんは、「私の友人は、大学の学科の団体チャットルームで自分の顔が使われている性搾取物が出回っていることを知って、私に退学するかどうか悩んでいると打ち明けてきたが、その後、連絡が途絶えた」として、「被害者の側に立つ人がこんなに多いということを、その友人に絶対に見せてあげたい。必ず生きていてほしいと言いたい」と語った。

キム・チェウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1159119.html韓国語原文入力:2024-09-21 19:08
訳D.K

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