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韓国公捜処、「海兵隊前捜査団長の解職」めぐり職権乱用罪の成立を検討

登録:2024-06-24 06:09 修正:2024-06-24 10:07
パク・チョンフン前海兵隊捜査団長が21日午前、国会法制司法委員会で開かれた「殉職した海兵隊員の真相究明妨害および事件隠蔽などの真相究明のための特別検察官任命法」(C上等兵特検法)に対する立法聴聞会で、証言の前に敬礼している/聯合ニュース

 「(海兵隊員)C上等兵殉職事件」の外圧疑惑を捜査中の高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が、パク・チョンフン前海兵隊捜査団長(大佐)の解職を指示したイ・ジョンソプ国防部長官(当時)に職権乱用罪を適用できるかどうかを検討していることが分かった。これに先立ち、パク大佐の解職前後に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領とイ・ジョンソプ国防部長官が電話で話した事実が明らかになったが、尹大統領が解職の過程に関与したとすれば、尹大統領も人事権乱用の責任を問われる可能性がある。かつての国政壟断事態当時、朴槿恵(パク・クネ)大統領は「悪い人だと聞いている」として文化体育観光部長官に局長と課長を更迭する人事を指示し、職権乱用の罪で処罰を受けた。

 23日のハンギョレの取材の結果、移牒当日にキム・ゲファン海兵隊司令官がパク大佐に解職を通知し、国防部検察団がパク大佐を集団抗命首魁の疑いで捜査に着手した過程全体を、公捜処は「人事権の行使」とみなしてイ前長官の職権乱用罪成立の可能性を検討しているという。

 キム司令官は昨年、イ長官の指示を受け、パク大佐に「これから解職する」と8月2日午後12時45分に通知した。パク大佐が事件資料を警察に移牒した直後だった。

 通常、解職には解職審議委員会の議決が必要だ。ただし「重大な軍綱紀の乱れ、道徳的欠陥などで直ちに補職を解除する必要がある場合」には、まず解職してから7日以内に解職審議委の議決を経ることもありうる。パク大佐は後者に当たり、先に補職解除されてから、6日後の8日に開かれた解職審議委で解職案が議決された。

 このような「人事権行使」全般に尹大統領が介入したという情況もいつくかある。キム司令官がパク大佐に解職を通知(午後12時45分)する前後の同日午後12時7分と12時43分、12時57分頃、尹大統領はイ長官と電話で話した。パク大佐の解職審議委が開かれた8日午前7時55分にも、尹大統領はイ長官と電話で話した。

 尹大統領が直接指示したとすれば、この事件の構造は朴槿恵元大統領の「悪い人だと聞いた」と類似している。2013年8月、朴大統領はユ・ジンリョン文化体育観光部長官(当時)らを大統領府執務室に呼び、手帳を取り出した後、N局長とJ課長の名前を取り上げ、「悪い人だと聞いた」と述べた。更迭人事の指示だった。彼らはその翌日に更迭された。

 大統領が人事権を行使したといえる同事案を、当時尹錫悦検事を含むパク・ヨンス特別検事チームは犯罪と判断した。職権乱用および強要の容疑を適用した。一審・二審裁判所は職権乱用と共に強要罪まで全て有罪と判断したが、最高裁は強要罪については無罪を言い渡した。ただし職権乱用罪は最後まで認められた。

 パク大佐の弁護人であるキム・ギュヒョン弁護士は「解職の権限は海兵隊司令官にあるが、それより上層部が『権限を行使しろ』と指示したとすれば、職権乱用罪の成立もありうる」とし、「大統領の場合、人事権と職務範囲が包括的であるため、解職と立件を指示したならば職権乱用罪が成立する可能性がある」と話した。

 「解職および集団抗命疑惑立件」と関連し、イ前長官は21日に開かれた「C上等兵特別検事法」立法聴聞会で、尹大統領が介入した可能性を否定した。イ前長官は「国防部検察団長に(パク大佐に)該当する措置は何かを調べるため捜査を指示し、司令官には(パク大佐の)人事措置を検討するよう指示した」とし、「2件を指示した後に、大統領室から電話がかかってきた」と述べた。

 21日の聴聞会では、国防部長官が事件の移牒保留命令を文書ではなく口頭で指示したことが適切だったかどうかも争点となった。野党「共に民主党」のチャン・ギョンテ議員は、「国防部長官が決裁した事案(事件移牒)に対し、司令官が移牒を保留する権限はあるのか」とし、「普通は決裁文書を新たに上げたり、新たに起案したりする。口頭で指示したらすぐに(以前の決裁を)取り消すことができるものなのか」と指摘した。同党のキム・ヨンミン議員も、国防部のユ・ジェウン法務管理官に「国防部長官は、事件の移牒を決裁した文書を(口頭ではなく)公文書で取り消したのか」と尋ねた。ユ法務管理官は「公文書による取り消しはなかった」と答えた。公文書で取り消さなかった決裁文書の効力は有効であるため、パク大佐による事件の移牒は正当だったというのが民主党議員たちの主張だった。

 公捜処は、事件記録の回収後に国防部の調査本部に見直しを依頼し、容疑者を8人から2人に減らした過程も集中的に調べている。特に、イム・ソングン前海兵隊第1師団長が容疑者から除外された過程で、大統領室と国防部の間でどのような指示が交わされたのか、実際にイム・ソングン師団長を助けることが目的だったのかなどは、今後の捜査で明らかにしなければならない部分だ。

ペ・ジヒョン、オ・ヨンソ、チョン・グァンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1146073.html韓国語原文入力:2024-06-23 22:12
訳H.J

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