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入社わずか6カ月、工場で死亡した韓国の19歳の労働者…前月に延長勤務50時間

登録:2024-06-20 23:35 修正:2024-06-21 07:46
16日午前、全州ペーパーの工場で遺体で発見 
遺族と市民団体は過労、ガス漏れなどの死因究明を要求
20日、雇用労働部全州支庁前で、全州ペーパーの工場で死亡した労働者の遺族と市民団体が記者会見を行い、真相究明と安全対策を求めている/聯合ニュース

 先日、全羅北道全州(チョンジュ)のある製紙工場で19歳の労働者が死亡した。その原因は過労やガス漏れではないかとの疑惑が持ち上がっている。

 民主労総全北本部は20日、雇用労働部全州支庁前で記者会見を行い、4日前に全州ペーパーの工場で死亡した労働者Aさんの死因をはっきりさせることと安全保健対策の確立を求めた。

 遺族と労組関係者の話によると、全州八福洞(パルボクトン)の全州ペーパーの工場で19歳の労働者Aさんが遺体で発見されたのは今月16日。Aさんは昨年11月に同工場で現場実習を行い、その翌月に入社して生産チームで働いていた。事故当日の朝7時45分、Aさんは同僚たちと朝礼を終えた後、8時ごろから1人で配管点検業務に当たっていた。Aさんは朝8時30分ごろに労組関係者と通話していたことが確認されたが、30分後の午前9時の作業班長の電話には出なかった。

 同僚たちはAさんを探しはじめ、9時15分に心停止状態で床に倒れているAさんを発見した。Aさんは心肺蘇生法を受けながら病院の救急室に運ばれたが、9時55分に死亡が確認された。警察はAさんを解剖したが、具体的な死因は確認できなかったため、精密調査の結果を待っている。結果が出るまでには2~3週間かかる見通しだ。Aさんは、入社前に受けた健康診断では特に異常はなかったという。

 遺族と労組は、Aさんの先月の延長勤務が50時間に達していたことを根拠に、過労死の可能性を提起している。工場の稼動が止まって6日目に事故が起きたことから、配管の中の原料が腐敗し、有毒物質が発生した可能性も排除していない。労組は、事故当時、2人1組で作業に当たるとの規則が守られていたか、保護装備を着用していたか、安全教育が行われていたかについても調査が必要だと語る。労組の関係者は、「Aさんは1人で作業している途中で事故にあい、1時間近く放置されていたせいで、治療が迅速に受けられなかった」と語った。

 会社側は、安全管理には問題がなかったとの立場だ。会社の関係者は、「配管点検業務は肉眼だけで行うので、2人1組を投入しなくてもよい。事故当日と翌日の雇用労働部の調査でもガス漏れの情況は確認されなかった」と述べた。50時間の延長勤務については、「4人3交代で1人当たり週5日40時間勤務したが、休日が多かったせいで延長勤務となっただけで、実際に延長勤務をしたわけではない」と説明した。また「会社も当惑しており、やるせない雰囲気」だとし、「警察の調査結果を見守ってから、遺族と協議するとともに、後続対策を立てる」と述べた。360人の現場労働者が働く同工場は、重大災害処罰法の適用対象となっている。

キム・ヨンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/honam/1145767.html韓国語原文入力:2024-06-20 17:28
訳D.K

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