北朝鮮外務省のキム・ウンチョル米国担当次官が25日、「米国が朝鮮民主主義人民共和国に反対する新たな制裁劇を繰り広げた場合、(われわれは)米国が最も恐れる力の向上に必要な新たな機会をつかむことになるだろう」と警告した。
キム次官は同日、朝鮮中央通信を通じて発表した「談話」で、「国連で対朝鮮制裁決議履行の監視に携わってきた不法な存在が凋落する危機に瀕したことを受け、米国が破綻した制裁・圧迫構図の抜け穴を埋めようと汲々としている」として、このように述べた。
国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁委員会(1718委員会)傘下の専門家パネルの任期延長が、3月28日(現地時間)にロシアの拒否権行使で否決となり、30日に任期満了となる危機に追い込まれたことを受け、それに代わる新たな対北朝鮮制裁監視機関づくりに向けた議論を米国が主導していることをけん制するための談話といえる。
キム次官は談話で、「朝鮮民主主義人民共和国は、米国の増大する敵対的威嚇と制裁・圧迫から自分の主権的権利と安全利益を徹底的に守る」とし、「軍事技術的強勢を不可逆的なものにし、周辺の安保形勢の統制力を高めるため、より強力な実際の行動を取っていく」と明らかにした。
韓国の統一部当局者は、記者団に対し「国際社会で新たな対北朝鮮制裁監視体制づくりに向けた議論が進められていることに対する北朝鮮の不満と焦りを示す反応だ」と述べた。
問題はキム次官が談話で脅しをかけた「米国が最も恐れる力の向上」が具体的に何を念頭に置いた表現なのかだ。北韓大学院大学のヤン・ムジン教授は「大陸間弾道ミサイル(ICBM)の正常角度での発射または7回目の核実験を念頭に置いた表現である可能性もある」と指摘した。
北朝鮮外務省の「米国担当次官」の談話発表は、2021年9月23日以来2年7カ月ぶり。その間、北朝鮮は「外務省米国担当局長」の対米非難談話を発表しており、昨年は3回発表した。