日本の岸田文雄首相が米国メディアに、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との首脳会談の実現に向けて、自国政府が北朝鮮とハイレベルの働きかけを行ってきたことを明らかにした。
岸田首相は、米国国賓訪問を2日後に控えた7日に放映されたCNNのインタビューで、日本政府は北朝鮮との「諸懸案」を解決して関係の安定化を図るため、首脳会談の実現に向けて「ハイレベルでの働きかけ」を行ってきたと述べた。これは、日本政府が年初めから進めてきたことを明らかにした朝日首脳会談について、北朝鮮とハイレベルで協議してきたことを明らかにしたものだ。岸田首相の言う「諸懸案」には日本人拉致被害者問題が含まれているとみられる。
日本は2018年6月の朝米首脳会談以来、安倍晋三首相(当時)が「北朝鮮の金正恩国務委員長と直接向き合う用意がある」として朝日首脳会談の開催に向けた意志をしばしば表明してきたが、北朝鮮の核・ミサイル問題と拉致問題に対する両国の隔たりが大きく、実現に至らなかった。岸田首相は最近、日本人拉致被害家族が高齢化したことを受け、安倍首相時代とは異なり「首相直轄のレベルで働きかけを行っている」という発言を加えた。朝日新聞は消息筋の話として、日本政府関係者が昨年3月と5月、東南アジアで北朝鮮の朝鮮労働党関係者と秘密裏に接触したと報道した。
首脳会談に向けた日本側の度重なる意志表明にもかかわらず、北朝鮮は相次いで拒否の意思を明らかにしており、今のところ首脳会談が実現する可能性は低いものとみられる。キム・ヨジョン朝鮮労働党中央委員会副部長は先月26日、「日本側とのいかなる接触も、交渉も、無視し拒否する」とし、朝日首脳会談を拒否するという意思を示した。チェ・ソンヒ外相も同月29日、北朝鮮が解決済みと宣言した拉致問題の解決を日本が求め続けることに反発し、「朝日対話は我々の関心事ではない」と述べた。朝鮮中央通信は同日、在中日本大使館の関係者がこの日の前日に北朝鮮大使館に接触を提案したが断ったと報じた。
岸田首相は今回のインタビューで、中国、北朝鮮、ロシアの脅威のため「日本が防衛力を抜本的に強化する決定を下した」とし、「こうした面で安全保障政策を大きく転換した」と述べた。そして、「北朝鮮とロシアの間の装備品のやり取りや中ロ合同軍事演習は懸念すべきもの」だと指摘し、「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持するためには、国際社会の平和と安定、繁栄が重要だとの断固としたメッセージを北朝鮮と中国に送ることが重要だ」と述べた。また「東シナ海と南シナ海においては、力による現状変更が現実に行われている」とし、中国を主な脅威だと繰り返し強調した。東アジアが「歴史的転換点」に直面しており、日米同盟がいつになく重要になったとも語った。