第21代国会で最後となる5月の臨時国会を控え、共に民主党は「海兵隊員C上等兵特検法案」(殉職海兵捜査妨害および事件隠蔽などの真相究明のための特別検事の任命などに関する法律案)処理を強硬に推し進めている。民主党はまた、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の拒否権(再議要求権)行使によって阻まれた「梨泰院(イテウォン)惨事真相究明のための特別法」、「キム・ゴンヒ女史特検法」を改めて提出する時期をうかがっているうえに、祖国革新党は第22代国会の第1号法案として「ハン・ドンフン特検法」の提出を予告しているため、第21代国会の最後と第22代国会の序盤はいずれも巨大野党による「特検政局」が繰り広げられるものとみられる。
民主党が真っ先に切ったカードは、C上等兵特検法だ。尹大統領や国防部などによるC上等兵死亡事件の捜査への介入疑惑を明らかにするというのが骨子だ。この法案は昨年10月にファーストトラック(迅速処理案件)に指定され、今月3日に本会議に自動付議されており、キム・ジンピョ国会議長が本会議に上程すれば採決手続きを踏むことになる。
民主党は、4月10日の総選挙を経てC上等兵特検法案処理の名目が十分に整ったとみている。パク・ソンジュン報道担当は「疑惑の当事者であるイ・ジョンソプ前駐オーストラリア大使の任命と出国問題が民意に火をつけた」とし、「5月2日の本会議で推進する計画」だと語った。高位公職者犯罪捜査処(公捜処)による捜査が遅々として進まないうえ、総選挙直後であるため拒否権の行使は大統領にとって負担となること、与党からも処理に同調する声があがっていることなども、特検法案処理の可能性を高めている。与党「国民の力」のアン・チョルス議員は12日に文化放送(MBC)のラジオ番組に出演し、C上等兵特検法の採決に賛成票を投じると述べている。
民主党の主要関係者は、「C上等兵特検法案を5月初めに処理する方針」だとしつつ、「ただし、与党との協議、国会議長の意思が越えるべき山」だと語った。議長が上程しなくても、民主党が議事日程変更同意案を提出すれば野党単独で特検法が処理できるが、民主党は臨時国会の日程を与党と調整する際に、ひとまず交渉を行うものとみられる。
民主党は、与野党が「総選挙後の再採決」に暫定合意している梨泰院特別法の処理時期もうかがっている。しかし、第21代国会で再推進するかどうかは未知数だ。今年1月30日に尹大統領が拒否権を行使して国会に戻ってきた梨泰院特別法案を改めて国会で可決するには、在籍議員の過半数の出席、出席議員の3分の2以上の賛成が必要となる。現在297人いる国会議員のうち、国民の力(国民の未来を含む)の所属議員は3分の1をはるかに上回る114人であるため、与党の協力や造反票が欠かせない。民主党は梨泰院特別法案の処理をC上等兵特検法案と共に5月の本会議で試みるか、法案を自動廃棄して5月30日にはじまる第22代国会での即時再推進を考慮するとみられる。
「キム・ゴンヒ女史ドイツモーターズ株価操作疑惑特検法」や、黄色い封筒法(労働組合および労働関係調整法改正案)、放送3法、糧穀管理法など、尹大統領の拒否権行使で否決された残りの諸法案は、第22代国会で順次再推進される可能性が高い。民主党の別の関係者は、「キム・ゴンヒ女史特検法は、手続きの進行中に第22代国会がはじまれば、すべてが初期化される。ならば第22代がはじまってすぐに推進した方がよい」と述べた。
その他にも、祖国革新党は、国民の力のハン・ドンフン前非常対策委員長が辞任しても、第22代国会の第1号法案として「ハン・ドンフン特検法」を推進するとの立場だ。