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「医師の収入は減らない」尹大統領の談話で医学部教授らがさらに反発

登録:2024-04-02 07:56 修正:2024-04-02 08:53
「対話ポーズ」期待したが、従来の立場を繰り返す 
「医師をひざまずかせるというような口ぶり…専攻医を説得できない」
1日午前、ソウル駅の待合室で、市民が医学部の増員をはじめとする医療改革についての尹錫悦大統領の国民向け談話をテレビで見守っている/聯合ニュース

 医学部定員の増員に反発して辞表を提出している医学部の教授たちは、1日の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の国民向け談話は医政対立をさらに悪化させるという反応を示している。研修病院を離脱した専攻医(インターン、レジデント)に戻ってくるよう説得するというより、主に政府の論理を繰り返し説明する内容だったため、対立解消の機会を失ったとの主張だ。

 尹大統領は1日午前、ソウル龍山(ヨンサン)の大統領室からの「国民に申し上げる話」で、「(専攻医が医学部の)増員に反対する理由が、将来の収入減少を心配していることなら、決してそうではない」と述べた。尹大統領は「現在、韓国の医師の平均所得は経済協力開発機構(OECD)で1位」だとし、「20年後、医師はさらに2万人増えるが、国民所得の増加と高齢化によって医療需要はさらに、途方もなく増える」と強調した。医師の供給が増えても、高齢の患者の増加などで医療サービスはさらに増加するため、医師の稼ぎは減らないという説明だ。

 これに対し、医学部の教授たちの間からは「医師たちの反発に稼ぎをめぐる争いだというレッテルを貼ろうとしている」と反発する声があがっている。全国医学部教授非常対策委員会などの教授団体は、医学部増員反対の理由として、教育環境の悪化などを主にあげている。ソウル大学医学部非常対策委員会(非対委)の関係者はハンギョレに「大統領は(専攻医と教授が)まるで金のために行動に打って出たかのようにフレーミングした」とし、「このような発言は医政対立をさらに悪化させるだろう」と語った。

 尹大統領が研修病院を離脱した専攻医らについて「法と原則」に則った対応を再度強調したことに対しても、反発が起きている。先月24日に行われた与党「国民の力」のハン・ドンフン非常対策委員長と全国医学部教授協議会(全医教協)会長団との面談後、尹大統領は専攻医に対する「柔軟な処分」を政府に注文していたが、この日は免許停止行政処分の方針などに再度言及した。尹大統領は、「(専攻医が)国民の命を人質に取って違法な集団行動を繰り広げるなら、国は法と原則に則って対応せざるを得ない。何人も特権を持って国民の上に君臨することはできず、それが国民の命を扱う医師ならなおさら言うまでもない」と強調した。

 これについてある国立大学医学部の教授非常対策委員会の委員長は、「大統領は医師を反知性的、反民主的勢力だと考えている。国の力で医師集団をひざまずかせなければならないというような発言だ」と声を強めた。

 当初、教授たちはこの日、尹大統領が医学部の増員幅に調整の余地があることをほのめかすなど、医師に対して「対話のポーズ」を取ると期待していた。このところハン・ドンフン非常対策委員長やアン・チョルス議員など与党からは「年2千人増員」という数字に固執すべきではないとの意見が相次いでいるため、尹大統領も柔軟な立場を示すと予想されていたのだ。ソウルの上級総合病院の非常対策委員会に所属する教授は、「大統領は医学部増員について前向きなメッセージを投げかけるだろうと期待していた。しかし(定員調整についての言及がなかったため)復帰するよう専攻医を説得できるような内容は何もなかった」と語った。

 市民社会団体も、増員される医師を地域医療に配置する方策や公共医療の強化策などが示されていないことに失望を示した。政府は2月1日に地域・必須医療の強化に向けた政策パッケージを打ち出したが、対策の具体性に欠けており、公共病院に対する支援策なども抜け落ちていると批判されている。先月、2025学年度の増員分を各大学の医学部に配分した際にも、大学が非首都圏にあるだけで研修病院はソウルにある大学に多すぎる定員を与えたと指摘する声が強かった。参与連帯のキム・ウンジョン合同事務処長は「『形だけの地域医学部』に対する代案にもいまだに言及していない」とし、「医政いずれも(地域・必須医療の定着対策も打ち出さずに)増員の数字ばかりに過度に固執して争っている」と指摘した。

チョン・ホソン、ソン・ジミン、イム・ジェヒ、キム・ユンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1134722.html韓国語原文入力:2024-04-01 16:16
訳D.K

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