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右派人事、団体協約破棄など記した「KBS正常化文書」…言論労組、法的対応を予告

登録:2024-04-02 00:58 修正:2024-04-02 09:54
右派人事、団体協約破棄、人員削減の掌握計画を明示 
労組「文書が実際に実行されたとみるべき情況が相当ある」 
KBS「出所不明の文書、内部で共有されたことはない」
KBS掌握策の記された対外秘文書を報道したMBCの「ストレート」の1シーン=MBCのユーチューブチャンネルより//ハンギョレ新聞社

 右派の登用、団体協約の破棄など、いわゆる「韓国放送(KBS)正常化」方策を記した内部文書が公開され、波紋が広がっている。まだ文書作成の主体と報告ルートが確認されていない中、全国言論労働組合(言論労組)KBS本部は「パク・ミン社長の就任後に起きていることを考えると、文書が実際に実行されたとみるべき情況が相当ある」と述べ、真相調査と法的対応を予告した。

 文書を最初に報道した文化放送(MBC)の番組「ストレート」(3月31日)と言論労組KBS本部の説明によると、「危機はすなわち機会だ」と題するこの文書は、KBS取締役会がパク・ミン社長を推挙した昨年10月13日より前に作成されたと推定される。労組は1日の記者会見で「内部の特定勢力が結託し、公共放送の役割を縮小し改悪することを狙った議論を進めていたという具体的な情況を確認した」、「単なる怪文書とみなしてやり過ごすことはできない」と述べた。

 18ページからなるこの文書には「KBS正常化(破壊的革新)」と「放送構造改編(KBS空中分解)」 の2つのうち、どちらが優先されるべきかを診断した後、「民主労総言論労組KBS本部が中心の『労営放送』体制の断絶」や「KBS2TVの民営化」など、細部の内容を記している。また「社長就任後に直ちに推進すべき懸案」として「役員・幹部人事を通じた組織掌握」をあげつつ、具体的な方策として「右派を中心」とした人材の起用を注文している。

言論労組のパク・サンヒョンKBS本部長が1日、ソウル永登浦区のKBS新館で行われた記者会見で「KBS掌握文書」を読んでいる=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 このような人事は単なる計画にとどまらず、パク・ミン社長の就任後に実現された、というのが労組の説明だ。労組が公開した資料によると、「パク・ミン体制」で任命された幹部に占めるKBS本部労組の組合員の割合は12%で、前任のキム・ウィチョル社長時代(68%)の6分の1ほどにまで減っている。労組は「労働基準法、国家人権委員会法、労働組合法、KBSの定款のどこにも、政治指向を幹部人事において考慮できるという規定はない」とし、同文書は不当労働行為を指示していると主張した。

 また、「社長推挙後に直ちに取り組むべき緊急懸案」と明示された「国民の信頼喪失に対して誠意ある国民向け談話(謝罪)を準備」は、実際に昨年11月、パク・ミン社長就任直後に国民向け謝罪記者会見として実現されている。「任命同意の対象である報道局長ら5人を社長の意志どおり任命するものの、任命同意を得られなかった場合は、団体協約を無視して発令を強行することも考慮できる」という内容も、1月に任命同意制を省いた一方的な人事として実行されている。

 同文書の法律検討をおこなったチョン・ミョンア労務士は「衝撃的な文書」だとしつつ、「言論労組を排除するために右派が登用されなければならず、そのために団体協約違反や破棄すら甘んじて受け入れろとはっきり注文している。この文書そのものが不当労働行為であり、労組法違反だ」と述べた。そして「文書の半分以上は制作の外注化、人員削減、人件費削減についての内容だ。内部構成員の生存権を人質にして言うことを聞けと脅迫するという意図があると解釈される」と付け加えた。

今回のKBS文書と、MBC正常化計画の記された2010年の国情院文書を比較した「ストレート」の1シーン=MBCのユーチューブチャンネルより//ハンギョレ新聞社

 言論労組のユン・チャンヒョン委員長は「この文書は2010年の文書(李明博(イ・ミョンバク)政権時代に国家情報院が作成し実行した『MBCとKBS』正常化文書)よりさらに一歩踏み込んでいる」とし、「今回は掌握にとどまらず、元に戻らないようにKBSを空中分解させるという意志が込められている。この文書の作成者とKBSの経営陣に厳しく責任を問う」と述べた。

 これに対してKBSは声明で「『対外秘文書』は出所が分からないうえ、KBSの経営陣や幹部に報告されたり共有されたりした事実はまったくない」とし、「根拠のない内容を報道したMBCに強い遺憾を表明し、訂正報道を申請するなどの対応を取る方針」だと表明した。

パク・カンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/media/1134755.html韓国語原文入力:2024-04-01 17:01
訳D.K

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