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「韓国はディープフェイク共和国」…処罰と同時に「賠償命令」の導入が必要

登録:2024-03-21 06:28 修正:2024-03-21 07:37
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 「韓国は長い間『盗撮共和国』と呼ばれてきたが、今や『ディープフェイク』共和国だ」

 7日(現地時間)、フランスの新聞「ル・モンド」は世界的ポップ歌手テイラー・スウィフトの顔を合成したわいせつな写真が全世界に広がった事件を伝え、「(ディープフェイクを活用した性犯罪は)韓国で数年前から問題になっており、もはや日常的なことになった」と報道した。ディープフェイクはディープラーニング(Deep learning)と「偽物」を意味する単語であるフェイク(Fake)の合成語で、イメージや音声の合成技術を意味する。

 海外メディアの報道のように、韓国国内でディープフェイクを活用した違法合成物関連性犯罪が急増している。知人や有名人の顔と性的な動画を合成して流布するいわゆる「知人陵辱」犯罪が代表的な事例だ。深刻なデジタル性犯罪であるにもかかわらず軽い処罰にとどまるという声が高まり、2020年6月に性暴力犯罪の処罰などに関する特例法(性暴力処罰法)の改正により違法合成物の作成と流布に対する処罰が強化された。警察庁の国家捜査本部は20日、ハンギョレに「違法合成物犯罪は2021年に156件、2022年に160件、2023年には180件発生した」と明らかにした。

 処罰とは別に、違法合成物による性犯罪の被害者であるイタリアのジョルジャ・メローニ首相のように犯罪物を作成・流布した加害者に対し損害賠償訴訟を起こすケースはまだ少ない。犯罪の加害者が未成年者である場合が多く、訴訟による実益が大きくないためだ。実際、ディープフェイクによる違法合成物で検挙された人々の中で69.1%が10代だった(警察庁国家捜査本部・2021)。

 ソ・ヘジン弁護士(韓国女性弁護士会児童青少年特別委員長)は「韓国でディープフェイク犯罪の加害者は未成年者が多いのが特徴」だとし、「わいせつ物の制作会社が犯行に及んだ事件は多くなく、これに伴い被害に対する損害賠償を起こした訴訟も非常に少ない状況」だと説明した。

 このような理由で、ディープフェイクを活用した性犯罪も「賠償命令」を申し立てられる犯罪に含めるよう求める声もあがっている。賠償命令とは、刑事裁判で被害者が申し立てれば、裁判所が有罪判決を宣告し、犯罪被害に対する損害賠償を命令する制度だ。別途民事訴訟を進めなくても済むため、訴訟費用がさらにかかることなく、比較的迅速に進められるというメリットがある。

チェ・ユナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/women/1133107.html韓国語原文入力:2024-03-2015:52
訳H.J

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