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一度も経験したことのないメガ干ばつを迎える決意【コラム】

登録:2025-01-27 07:04 修正:2025-01-29 07:00
Jaewoogy_ma@naver.com//ハンギョレ新聞社

 干ばつは様々な自然災害のなかでも、最も広範囲に影響を及ぼす災害だ。正反対の性格である洪水が、多くの場合は狭い地域に迅速に被害をもたらす一方、長期間の降水量不足によって発生する干ばつは、特定の地方や国家にわたる広大な地域に持続的に被害をもたらすことが多い。飲料水や食糧の不足によって人間の健康と生命を脅かし、動植物の生息環境を悪化させて生態系を乱し、最近米国ロサンゼルスで発生したような大型の山火事被害も増加させる。

 特に、数年から数十年にわたり繰り返されるメガ干ばつ(Megadrought、大干ばつ)は、大規模な飢饉の事態を引き起こし、社会的混乱や政治的不安定までもたらす可能性がある。歴史と気候の研究者らは、中国の明王朝、カンボジアのクメール帝国、メキシコと中央アメリカ一帯で繁栄したマヤ文明の急速な衰退の原因の一つは、大干ばつによる農業基盤の崩壊にあるとも考えている。

 科学者たちは、大干ばつの発生が、東太平洋の水温が平年より低く維持される自然現象である「ラニーニャ」と密接に関連しているとみている。その一方で、人間が引き起こす気候変動がそのリスクを高めていると警告している。温暖化によって多くの地域では大気がさらに暖まり乾燥し、地表面から水分をより速く蒸発させるためだ。

 実際、2000年から北米南西部地域で最近まで続いた大干ばつを分析した科学者たちは、この地域で発生した土壌水分の不足の約42%が気候変動によって引き起こされたという結論を下した。普通程度で終わったはずの干ばつを、人間が介入したことで、過去1200年間で最悪の干ばつにしてしまったということだ。

 スイス連邦森林・雪氷・景観研究所とオーストリア科学技術研究所の研究員たちが最近、科学誌「サイエンス」に報告した論文によると、干ばつの地域は急激に増加している。研究員たちは、1980年からの約40年間に全世界で発生した約1万3000件の干ばつを調査した。その結果、最短でも2年以上の長期の干ばつ状態の陸地の面積が、毎年約5万平方キロメートルずつ増加していることが明らかになった。気候変動によってさらに長く広範囲な大干ばつが、より速く、より頻繁に発生することになるというのが研究員たちの結論だ。

 大干ばつに対する根本的な対策は、気候変動を阻止することだが、実際の状況は逆だ。地球の平均温度は昨年、すでにパリ協定で定めた1.5度の抑制ラインを超え、人類が一度も経験したことのないレベルに到達した。結局のところ、一度も経験したことのない大干ばつを迎える覚悟が求められているようだ。

キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1179812.html韓国語原文入力:2025-01-26 15:20
訳M.S

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