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韓ロ関係の収拾に乗り出した韓国国防相「ウクライナへの全面的支援の発言は誤訳」

登録:2024-03-20 06:35 修正:2024-03-20 07:42
シン長官「ブチャの虐殺、事実は明らかになっていない」 
大統領室は以前「ロシア軍の残酷行為の象徴」
シン・ウォンシク国防部長官が18日、ソウル中区の韓国言論会館で開かれた外国メディア記者懇談会で発言している/聯合ニュース

 シン・ウォンシク国防部長官は「ウクライナを全面的に支援すべきだ」とした自身の発言を報じた今年1月の英字新聞のインタビュー報道について、文脈を考慮しない誤った翻訳だと主張した。シン長官の発言後、韓国とロシアの外務省は激しい言葉の応酬を繰り広げた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の5期目の当選後、韓ロ関係の管理のためにシン長官が釈明に乗り出したものとみられる。

 シン長官は18日、ソウル韓国言論会館で行われた外国メディア記者懇談会で、「私がウクライナに対して全面的な支援を行うべきだという考えを持っているというのは、非常に誤った翻訳であり、前後の脈絡を考慮しない一方的な単語だと思う」と述べた。また「私が言ったのはウクライナに対する全面的な支援ではなく、もう少し積極的に乗り出すべきという意味の積極的な支援」だと主張した。さらに「それも私が国会議員だった時の主張であり、記者に『長官になった後もその考えに変わりはないか』と尋ねられて、『個人的には国会議員の時のように、積極的な支援をした方が良い』と答えた」と付け加えた。

 シン長官は1月24日、国内のある英字新聞のインタビューで、韓国政府によるウクライナ支援が人道的・財政的レベルに限られていることについて、「個人的に自由世界の一員として全面的な支援が(韓国が)進むべき道だと考えているが、政府の政策を支持する」と語った。これに対し、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は同月26日(現地時間)、「我々は一時友好的だったロシアとの関係を崩壊させかねない無謀な行動について、韓国政府に警告する」と述べた一方、韓国外交部は28日、「韓ロ関係の管理においては、今後これに関連したロシアの進退が非常に重要である点を警告する」と反論した。その後、ザハロワ報道官は異例にも尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領を直接批判し、外交部は2月3日、「忌まわしい詭弁」だと反論したのに続き、駐韓ロシア大使を呼んで抗議した。

 シン長官が「当時の発言が誤って報じられた」と釈明に乗り出したのは、最近ロシアがスパイ容疑で韓国人を抑留した事実を公開するなど、韓ロ関係が悪化したことが影響を及ぼしたものとみられる。

 同日、シン長官は、ウクライナに殺傷力のある兵器を支援しない尹錫悦政権の方針には変わりがないと強調した。またウクライナへの弾薬供与に関する質問に「米国の備蓄分が不足しているため、一部米国に輸出したことはある」としたうえで、「ウクライナに直接殺傷力のある兵器を供与したことはなく、政府の方針が変わらない限り、このような政策は有効だ」と繰り返し強調した。

尹錫悦大統領と夫人のキム・ゴンヒ女史が昨年7月15日(現地時間)、ウクライナのキエフ近くのミサイル攻撃が集中しているイルピン民間人住居地域を視察している=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 また、シン長官はロシアがウクライナの民間人を虐殺した疑惑が持ち上がった「ブチャの虐殺」について、まだ明白な事実として完全に明らかになったわけではないと述べ、注目を集めた。ウクライナは2022年3月末、ブチャ地域でロシア軍が自国民間人を虐殺し退却したと主張しており、ロシアはこれを否定している。

 シン長官は関連の質問に「(ブチャの虐殺は)まだ明白な事実であることが完全に明らかになったわけではないため、私が言及するのは適切ではないが、不法侵略をすること、民間施設に爆撃を続けることについて、大韓民国政府はそのような行為を糾弾する」と答えた。

 尹錫悦大統領夫妻は昨年7月15日(現地時間)、ブチャ市を訪れ、犠牲者を追悼した。当時、大統領室は参考資料を通じて、ブチャの虐殺は「ロシア軍隊が犯した残虐行為の象徴」だとしたうえで、大統領室関係者が「韓国の大統領が国軍の派兵地ではない戦場に、国際社会の責任ある一員として連帯を示すために訪問するのは、今回が初めて」だとブチャ訪問の意味を説明した。外交安全保障の当局者であるシン長官が外国メディアの記者たちに向けて、「ブチャの虐殺がまだ明白に事実として完全に明らかになったわけではない」と発言したことで、今後のロシアの反応に関心が集まっている。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1132969.html韓国語原文入力:2024-03-19 17:49
訳H.J

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