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尹大統領「専攻医の空白はPA看護師で埋める」

登録:2024-03-07 07:33 修正:2024-03-07 08:10
予備費1285億ウォン投入、非常診療強化 
うち580億が医療スタッフの人件費
専攻医の集団辞職が16日目を迎える6日、ソウルのある大学病院で医療スタッフが移動している/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、医学部の定員拡大に反発して研修病院を離脱した専攻医(インターン、レジデント)がいなくても大病院の重症患者治療機能が維持できるよう、合法と違法の間で医師の業務を肩代わりするPA(診療支援)看護師を積極的に活用すると発表した。また1285億ウォンの予備費を投入して病院の人件費を補助するとともに、人材が急に必要になった病院には軍医や公衆保健医(公保医)を派遣する。

 尹大統領は6日、医師集団行動中央災害安全対策本部(中対本)の会議を主宰し、「国民の命と安全に対する責任を放棄した医師に対して適切な措置を取ると同時に、彼らの空白を埋められるよう、非常診療システムをより強化する」と強調した。そして「PA看護師には、モデル事業を通じて専攻医の業務の空白を埋めさせる。彼らが法的に確実に保護を受けられるようにする」と語った。保健福祉部は、PA看護師などが業務にあたる場合、具体的にどのような業務が違法なのかを指針に盛り込み、早ければ8日にも医療機関に配布する予定だ。彼らが専攻医の仕事を肩代わりして違法医療行為などで告発されることを防ぐ、との趣旨だ。医療法によると、看護師は医師の指導の下で診療補助業務を行うことになっているが、PA看護師がなしうる業務の範囲と医師の指導のあり方についての法的根拠はない。大韓医師協会(医協)はPA看護師の合法化に反対する立場を取っているが、大統領が彼らの法的保護に言及しただけに、今後の医療法改正によってPA看護師の業務が制度化されるかが注目される。

 すでに政府は専攻医の大量辞職を受けて非常診療対策を相次いで発表しているが、この日の国務会議ではそれらを実行するための予備費1285億ウォン(約144億円。内訳は福祉部1254億ウォン(約141億円)、国家報勲部31億ウォン(約3億4800万円))について審議のうえ、議決した。予備費はまず、専攻医の代わりに当直を担う教授や専任医(フェロー)などの人件費(580億ウォン、約65億円)、地方医療院のような公共病院の平日の延長診療と週末・休日診療(393億ウォン、約44億1000万円)に使われる。人手不足が深刻な病院には今月から専門医資格を持つ軍医官20人と公保医150人を派遣(59億ウォン、約6億6100万円)する。主に母校の付属病院や専攻医課程の研修で所属していた病院に配置する計画だ。上級総合病院が重症患者の治療に集中できるように、症状のひどくない患者を分散させるための医療機関同士の協力体制も構築(40億ウォン、約4億4800万円)する。

 しかし、専攻医に続いて一部の専任医や医学部の教授までもが集団行動に打って出れば、非常診療システムだけでは患者の保護に限界が生じる、との懸念が示されている。福祉部などによると、4日時点での全国の病院の専任医の再契約率は約40%で、例年の水準(70~80%)にはるかに及ばない。全国医学部教授協議会が9日に緊急総会を開催するなど、医学部増員に対する反発も続いている。専門医の資格を持つ公保医は437人で、全国に221カ所ある研修病院に十分には派遣できず、総合病院や地方医療院などでは大病院が診療していた重症患者を診ることは難しい。PA看護師はすでに全国で1万人あまりに達すると推定されるため、短期間に人員をさらに増やすことは難しいとみられる。各病院は、一定水準以上の経歴があるか、教育を履修した看護師をPA看護師に選んでいる。

チョン・ホソン、イム・ジェヒ、キム・ユンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1131221.html韓国語原文入力:2024-03-06 21:17
訳D.K

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