大統領夫人のキム・ゴンヒ女史のブランドバッグ授受疑惑への対応をめぐり、前代未聞の大統領と与党の司令塔との衝突局面を経て、大統領室は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が自ら立場を明らかにすることを検討していると24日に明らかになった。この日、大統領の釈明を要求する意見が69%に達する世論調査結果が出ており、党内の長老政治家や政治学者たちも総選挙前に「キム・ゴンヒ・リスク」を解除していかなければならないと促す声が続いた。
大統領室は同日、公にはこの問題について言及しなかった。与党「国民の力」のハン・ドンフン非常対策委員長もこれに関して「私の考えはすでに十分に申し上げた」、「今まで申し上げたことに対してこれ以上申し上げることはない」として言及を避けた。だが、大統領室内部では、尹大統領が早ければ今月中に対談形式でキム女史のバッグ授受当時の経緯を説明し、立場を明らかにする案を積極的に検討しているという。キム女史が「隠しカメラ工作」の被害者という点も強調するものとみられる。対談を進める報道機関としては、韓国放送(KBS)が有力だという。複数の大統領室関係者はこの日ハンギョレに「対談する可能性は開かれていた。ただし、まだ何も決まっていない」と述べた。当初大統領室は、尹大統領が年頭記者会見を開き、立場を明らかにする可能性も打診したが、キム女史の論議をめぐる突発的な質問などを避けるために、事前に調整が可能な対談の方に方向性を定めたものと思われる。
このような基調は、尹大統領が自ら立場を明らかにすべきだという世論が大きくなったことと無関係ではないとみられる。世論調査機関「エムブレインパブリック」がYTNの依頼で、21日から2日間にわたって尹大統領のキム女史問題に対する立場表明の必要性についてアンケートを取った結果、「必要だと思う」という回答は69%を占めた。「立場表明が必要」との意見は保守層で56%、中道層で77%、進歩層で85%と表れ、地域別では光州市・全羅道(77%)に続き、京畿道・仁川市(73%)、ソウル市(71%)で高かった。国民の力の支持層では「立場表明が必要」が46%、「必要ない」が47%で拮抗していた(無線電話の電話面接方式100%、回答率は13.4%。中央選挙世論調査審議委員会のウェブサイト参照)。
首都圏の議員と総選挙の候補予定者を中心として、迅速にこの問題に終止符を打つべきだとの声があがっているのも、このような雰囲気があるからだ。首都圏選出の国民の力の議員はハンギョレに「二人が対立を解消したのは実に幸い」だとしながらも、「しかし対立の原因は依然として残っているではないか。キム女史リスクは総選挙前に何とか解決していくべき問題」だと述べた。先日、不出馬を宣言したキム・ウン議員(ソウル松坡甲:選挙区名)はCBSラジオで、「(キム女史が瑞草洞の)私邸に行っているとか、しばらく外国に行っているとかすれば、この局面は覆るだろう」と述べた。キム・ムソン・セヌリ党(国民の力の前身)元代表は韓国放送(KBS)ラジオで、「キム女史が自ら出ていく必要はない。心を込めた謝罪文を一つ出せば済むことで、大統領はそれに対して遺憾の意を表すればよい」と助言した。
政治学者は、尹大統領とキム女史の謝罪と釈明が先送りされればされるほど、総選挙に及ぼす否定的な影響も大きくなると指摘する。「議題と戦略グループ:ザ・モア」のユン・テゴン政治分析室長は「尹大統領とハン委員長との関係までもがこの問題とつながったことで、キム女史の問題を解決しなかった場合に支払わなければならない代価はさらに重くなった。キム女史の問題は消えてなくなるものではない。この問題を引きずったままだと、選挙で負ける可能性はさらに高まる」と述べた。
建国大学のイ・グァンフ教授(政治学)は、「この問題を釈明せずにやり過ごすということは、龍山(ヨンサン=大統領室)が政治的な責任を取るということ」だとし、「就任時にドアステッピング(略式会見)を導入したくらい、『意思疎通する大統領になる』と述べたのは尹大統領本人だ。その立場が変わったのなら、それについての釈明が必要だ」と述べた。