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韓米日安保会議、北朝鮮への圧迫を全方位に拡大…韓国、米のインド太平洋戦略に編入

登録:2023-12-11 09:56 修正:2023-12-11 11:39
韓米日、新3カ国イニシアチブを推進 
対北朝鮮圧迫を高め、中国けん制を強化 
 
米国「台湾海峡の平和」の言及に 
韓中関係の改善はさらにこじれる見込み
チョ・テヨン国家安保室長(中央)とジェイク・サリバン米大統領補佐官(左)、秋葉剛男国家安全保障局長が9日午前、ソウル龍山の大統領室庁舎で韓米日安全保障担当高官会議の共同ブリーフィングを終えた後、手を取り合って記念撮影をしている/聯合ニュース

 韓米日3カ国は、朝中ロに向けた安全保障分野に加え、サプライチェーン、技術保護、共同研究、人工知能(AI)など経済と先端技術分野まで含めた包括的な協力を強化することにした。韓米日は「新3カ国イニシアチブ(構想)」を推進し、北朝鮮に対する圧迫を最高潮に引き上げる一方、米国が主導する中国けん制の姿勢を強めた。韓国は朝ロ密着の中で対中関係を調整しなければならない状況にもかかわらず、米国のインド太平洋戦略に引きずられているという懸念の声が出ている。

 チョ・テヨン国家安保室長は9日、米国のジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安保担当)、日本の秋葉剛男国家安全保障局長とソウル龍山(ヨンサン)の大統領室で2時間にわたり3カ国安全保障担当高官会議を行った。

 彼らは会議後の共同ブリーフィングで、「北朝鮮の挑発への対応に関する国際社会との協力を強化していくことで合意した」と述べた。3カ国安全保障担当高官会議は、8月18日に米大統領別荘のメリーランド州キャンプデービッドで開かれた韓米日首脳会議の後続措置として開かれたもの。

 サリバン補佐官は「新しい3カ国イニシアチブを推進している」とし「北朝鮮からの脅威、サイバー犯罪と仮想資産(暗号通貨)洗浄の脅威、北朝鮮の軽率な宇宙および弾道ミサイル実験に対応するための取り組みが始まった」と述べた。秋葉国家安全保障局長も「北朝鮮の核とミサイル開発の資金源となる不正なサイバーマネー活動に対する取り組みを3カ国で連携して強化していくことにした」と述べた。北朝鮮ミサイル警報情報のリアルタイム共有と合同演習をすでに合意した3カ国が、北朝鮮の外貨獲得の遮断にも取り組むという意思を明らかにしたのだ。3カ国の安全保障担当高官は北朝鮮問題のほかにも、サプライチェーン早期警報システムなど重要鉱物分野の開発協力▽技術保護ネットワークの早期発足▽フェイクニュース工作への対策などにも協力することで一致した。

 キム・スギョン大統領室報道官は10日のブリーフィングで、「今回の会議は伝統的な意味での安全保障だけでなく、先端技術開発、サプライチェーン撹乱などの経済安全保障、フェイクニュースやハッキングなどのサイバー安全保障に対しても様々な意見を交わす場だった」とし、「安保危機の様相が多角化、高度化すればするほど、3カ国の協力もより緊密できめ細かくなるだろう」と述べた。

 しかし、米国主導の3カ国密着は、日本や米国とは立場が異なる韓国にとっては脅威として返ってくる恐れがあると懸念されている。特に対中関係で、米国は「封鎖」が目的だが、韓国は朝ロが急速に近づいている状況で「調整」が必要だ。韓米日対朝中ロの構図が固まる限り、北朝鮮問題に関する中国の協力は期待しがたい。

 サリバン補佐官は会議後のブリーフィングで「台湾海峡の平和と安定を守り、航行の自由を東・南シナ海で守っていく」、「より開放的で繁栄する安全なインド太平洋」、「3カ国の沿岸警備隊間の協力を進める」など、米国の国益に関する部分をもれなく言及した。韓米安保室長は別途2国間で行った次世代核心・新興技術対話の後、来年3月中にインドと共に3カ国の非公式対話機構を開設することで合意した。韓国・米国・インドの技術協力で中国をけん制しようとする米国側の布石と読み取れる。

 これは、中国との関係を改善しようとする尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の気流とは相反する。尹錫悦大統領は先月、米サンフランシスコで開かれたアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の際、習近平中国国家主席との韓中首脳会談の開催を打診したが、失敗に終わった。韓中日首脳会議も年内開催は難しくなった。

 専門家らは、新しい3カ国イニシアチブは「宣言的意味」が大きいと評価した。

 ウィ・ソンラク元駐ロシア大使はハンギョレに「キャンプデービッドで韓米日という枠組みを作ったので、共同の動きを見せるという趣旨でイニシアチブという名前を付けたようだ」と述べた。キム・ジュンヒョン元国立外交院長は「これまで行ってきた対北朝鮮制裁では北朝鮮の開発を止めることができないため、窮余の一策として打ち出したのが今回のイニシアチブとみられる」と説明した。

 専門家らは、無条件の3カ国密着よりも、中国との関係改善や管理強化のための外交的空間を残すべきだと主張した。

 ウィ元大使は「(今回の会議を通じて)対中国包囲網がさらに強化された」とし「朝鮮半島の平和定着と朝鮮半島の統一追求は韓国だけのアジェンダであるため、利害関係によっては(日本や米国とは)違いがなければならない」と述べた。一方、尹大統領は8日、3カ国の安全保障担当高官を漢南洞(ハンナムドン)の官邸に呼んで晩餐を共にした。

キム・ミナ、シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1119829.html韓国語原文入力:2023-12-11 8:00
訳C.M

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