韓国政府が福島第一原発の汚染水放出に対応するため、今年から6年間で3兆ウォンの予算を執行する計画であることが分かった。
国会科学技術情報放送通信委員会のチョン・ピルモ議員(共に民主党)が国会予算政策処に依頼して各省庁から提出を受けた福島第一原発の汚染水放出対応予算案に関する資料によると、政府が2023年から2028年までの間に投入しようとしている予算は、海洋水産部が3兆1128億ウォン(約3440億円)、原子力安全委員会212億ウォン(約23億5000万円)、食品医薬品安全処96億ウォン(約10億6000万円)の計3兆1436億ウォン(約3480億円)。これらの予算は20の事業に使われる予定だ。
事業部門ごとに見ると、水産物備蓄事業に最も多い8700億ウォン(約962億円)あまりが投入され、続いて多い順に水産金融資金の金利差補填事業に約7200億ウォン(約796億円)、水産物買い取り支援事業に約5700億ウォン(約631億円)。これらの事業はいずれも、汚染水の放出によって水産業が受ける打撃と漁民が受ける被害に備えるためのものだ。
続いて水産物の消費促進と共生割引支援に4624億ウォン(約512億円)、海洋放射性物質監視システムの構築と運用に578億ウォン(約63億9000万円)、海洋放射能汚染事故に備える迅速探知予測技術の開発に204億ウォン(約22億6000万円)が投入される計画だ。その他、海水浴場の放射能調査、海洋深層水の水質検査、船舶のバラスト水の放射能汚染調査などにも少なからぬ予算が投入され続ける。
チョン・ピルモ議員は「問題は、このような予算をこれから何十年投入しなければならないのかが分からないということ」だとし、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権による福島第一原発の汚染水放出ほう助は、結局は国家財政の負担へとつながっている」と述べた。
実際、東京電力は福島第一原発の廃炉を2051年までに完了する計画だが、多くの専門家はこの計画が守られる可能性は高くないとみている。汚染水は廃炉が完了するまで生じ続けるため、汚染水の放出期間もそれに伴って長引かざるを得ない。
チョン議員は「隣接国に被害が及ぶことを知りながら無責任に放出を推進した日本政府に対し、直接・間接的な被害規模を推計して積極的に求償権を行使すべきだ」と述べた。