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「韓米日3カ国同盟に完全に従属」…尹政権の「理念偏向」外交を憂慮

登録:2023-10-27 01:09 修正:2023-10-27 05:34
2023ハンギョレ-釜山国際シンポジウム
25日午後、釜山海雲台区のヌリマルAPECハウスで「韓国外交、どこへ?」をテーマに2023ハンギョレ-釜山国際シンポジウムのラウンドテーブルが行われ、パネラーが討論している//ハンギョレ新聞社

 25日、釜山市海雲台区(プサンシ・ヘウンデグ)のヌリマルAPECハウスで行われた第19回ハンギョレ-釜山国際シンポジウムの「韓国外交、どこへ?」をテーマとした討論では、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の外交理念と政策の方向性に対する批判と懸念があふれた。懸念は、国際秩序の変化に対応する対外戦略や対北朝鮮政策はもちろん、民意に逆らう「非民主的暴走」に至るまで、全方位的なもだった。

 正義党のキム・ジョンデ前議員は「外交の本質は国民の生活権の拡大だが、尹錫悦政権は縮小指向の外交を展開している」と述べた。同氏は、尹政権は外交空間を既存の「アジア太平洋」から「インド太平洋」へと狭め、政経分離原則を廃棄し、「経済」を「安保」に従属させて生活権を縮小させていると批判した。韓国は大陸と海洋が出会う「海陸」国家だが、米国と日本に従って海洋国家戦略を展開しているため、「生存空間」と「生存戦略」との間の亀裂が広がりつつあると指摘した。

 国民の力のイ・オンジュ前議員も偏向外交を指摘した。イ前議員は「韓国はどこへでも行って物を売って輸出で生きてきたし、今後もそうしなければならない国だが、尹錫悦政権の発足後は米国の中国けん制世界戦略に則った韓米日3カ国同盟に完全に従属している」と述べた。そして「米中二者択一ではなく、戦略的自律性を高める戦略的実用外交を展開すべきだ」とし、「韓国は中堅先進国としてベトナムなどの東南アジアや、フランス・ドイツ・カナダなどの韓国と立場が類似する国々と協力・連帯することで、戦略的自律性を育まなければならない」と付け加えた。キム・ヨンチョル元統一部長官は「米中戦略競争の渦中に起きたロシア-ウクライナ戦争に対応し、インド・トルコ・サウジアラビアなど少なからぬ国が米中間で『綱渡り外交』を展開している現実に注目すべきだ」と付け加えた。

 討論者たちはいずれも、尹錫悦政権の外交政策の「理念偏向」に懸念を示した。

 キム元長官は「外交は国益を優先して柔軟かつ慎重に展開すべきものだが、尹錫悦政権の外交は理念的に硬直しているうえ、性急すぎる感がある」とし、「多くの国は、時に利益実現の手段として外交において理念を前面に押し出すが、利益を放棄した理念外交はしない」と述べた。

 イ前議員は、「尹錫悦政権は余計な敵対発言を連発しているが、韓国の安保にとって相手に絶えずケンカを売ることに、いかなる効果があるのか。国内政治的利益のために国と国民を危険にさらす無責任な態度だ」と述べた。同氏は「尹錫悦政権の外交は民意とのかい離がひどすぎる。封建時代の王の『我に従え』という態度と変わらない」とし、国民の大多数が懸念・反対する日本による福島第一原発の汚染水放出に対する政府の曖昧な態度などをその例としてあげた。これと関連してキム元長官は、「1987年の民主化から30年以上たっているが、いまだに外交安保省庁に対する民主的統制は実現していない」とし、「文民国防長官の実現などの民主的統制に向けた制度を整備すべきだ」と提案した。

釜山/イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1113634.html韓国語原文入力:2023-10-25 18:46
訳D.K

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