韓国政府が陸軍士官学校内部と国防部庁舎前に設置された独立戦争の英雄、洪範図(ホン・ボムド)将軍(1868~1943)の胸像を撤去する方針を明らかにした中、独立運動団体が「庚戌国恥(韓国併合条約が結ばれた日)に準ずる侮辱的なこと」だとし、撤去方針の撤回を求めた。
25団体の独立運動家記念事業会などで構成された抗日独立烈士団体連合は29日、ソウル蘆原区孔陵洞(コンルンドン)の陸軍士官学校前で記者会見を開き、設置された洪将軍の胸像の撤去中止を要求した。
彼らは「胸像を撤去するという国防部は民族共同体の歴史を否定し、軍固有の精神を守るという国民との約束を破ること」だとし、「国家と民族と歴史に対する反逆行為を行ってはならない」と主張した。
日帝に国を奪われた庚戌国恥日でもあるこの日の記者会見には、大雨にもかかわらず、義烈団の金翰(キム・ハン)先生の子孫である「共に民主党」のウ・ウォンシク議員など独立運動家の子孫と市民100人余り(主催側推算)が集まった。
雲巌金星淑(キム・ソンスク)先生記念事業会のミン・ソンジン会長、無後光復軍記念事業会のチェ・スチャン会長、云山将軍記念事業会のチェ・ソンジュ理事は記者会見文を朗読し、胸像の撤去が「理念対立を助長する行為に過ぎない」と批判した。
彼らは「2018年の洪将軍など独立運動家5人の胸像除幕式は、軍部独裁と光州(クァンジュ)5・18民主抗争と関連した否定的で誤った歴史と決別し、国民の軍隊として国家を防衛し、自由民主主義を守護し祖国の統一に寄与するという軍本来の精神を確認する時間だった」とし、「南北分断を悪用し理念対立を助長しようとする見え透いた術策で独立抗争先烈たちを侮辱する行為がこれ以上繰り返されないよう願う」と述べた。
彼らは、今回の国防部の決定が光復節記念演説などで独立抗争を否定した尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の無責任な言動から始まったと主張した。出席者たちは「78周年光復節記念演説などで政府は独立抗争、民主化闘争、南北の平和と一致に向けた献身を否定し、ひいては反国家的行為と規定して非難した」とし、「国防部の憲法精神と理念を破壊する非常識な行為は国政最高責任者の無責任な言動から始まったもの」だと指摘した。
ウ・ウォンシク議員は「歴史学界で検証が終わった独立運動家に理念の物差しを突きつけて歪曲し、分裂を引き起こすマッカーシズム的な策動を必ず打ち破る」と述べた。
記者会見には撤去に反対の声をあげるために自発的に参加した市民もいた。郷友会を通じて記者会見のニュースを聞いて駆け付けたという主婦のCさん(62)は、「独立闘士の精神を見習うべき陸軍士官学校から胸像が撤去されるのは理解に苦しむ。暮らしは日増しに厳しくなっていくのに、なぜこのような無意味なことをするのか分からない」とし、「ことあるごとに人のせいにし、国民の気持ちは眼中にない尹大統領の考えが反映されたものだと思う」と語った。