「周りには保育園が多くて子どもたちもよく来ますし、春には花もたくさん咲いて『レンギョウの園』と呼ばれるほどきれいで良いところだったのですが、今は恐ろしい場所になってしまいました」
18日午前に記者が訪れたソウル冠岳区新林洞(クァナック・シルリムドン)の自然公園。前日午前に公園内の登山路からつながっている山で、30代の男性が女性を殴って性的暴行を加える事件が発生したことで、住民の不安も高まっている。
近隣に住む70代のKさんは、毎日午前10時ごろにはこの場所に運動しにやって来るが、前日に凶悪犯罪が発生したと聞いて1人で来ることに不安を感じ、知人とつれだってやって来ていた。Kさんは「散歩に良い場所だったのに、今はとても怖い。治安問題が解決されることを願っている」と述べた。
この日も虫取り網を一つずつ手にした15人ほどの4~6才の保育園児たちが、2列に並んで引率の6人の先生につれられて公園へ散歩に来ていた。引率の先生たちはいつもより緊張した様子だった。
犯行現場は徒歩で約20分の距離に住宅とマンションがあるうえ、近くには少なくとも6つの保育園、幼稚園、小学校がある。保育園や幼稚園の日常の野外活動の場でもある。
A容疑者は区立保育園の近くの入口から公園に入り、散策路を通って山に登ったと推定される。犯行に及んだ山は公園と散策路につながっているため普段から散歩する人々がよく見られるが、夏には木が生い茂っているため昼間でもひっそりとしてる。
ソウル冠岳(クァナク)警察署は、A容疑者が「あそこ(公園)は頻繁に通っていたため防犯カメラ(CCTV)がないことを知っており、犯行場所に決めた」と供述していると発表した。A容疑者は「強姦したくて犯行に及んだ」として、性的暴行を目的として指の節にはめる金属材質の鈍器「ナックル」を4月にインターネットで購入し、犯行時には両手にはめていたと供述している。
警察は性的暴行を目的とした計画犯罪であるとみている。A容疑者は登山路を歩いている途中に通りかかった被害者を発見したとし、いっさい面識のない間柄だったと供述している。A容疑者は犯行当日の午前9時55分ごろに衿川区禿山洞(クムチョング・トクサンドン)の自宅を出発し、午前11時1分に冠岳山の散策路に到着した。
警察は、A容疑者は定職についておらず両親と暮らしており、過去に病院でうつ病と診断されたが、治療は受けていないという家族の証言を確保した。今後は通院歴などを確認する予定だ。警察は18日中に強姦傷害容疑でA容疑者の拘束令状を申請する計画だ。被害者は意識不明だという。
ハン・ドクス首相はこの日、警察庁に現場の治安活動の強化を緊急指示した。ソウル市も人工知能(AI)型防犯カメラを増やすほか、犯罪防止タスクフォース(TF)を立ち上げると発表した。