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福島原発汚染水問題、ハンギョレが「怪談スピーカー」? 批判の根拠を徹底分析

登録:2023-07-21 09:10 修正:2023-07-23 07:19
現場から
国民の力「韓国の海を守る検証タスクフォース」のソン・イルチョン委員長(中央)が19日、国会で開催された福島第一原発汚染処理水緊急討論会「フクシマ怪談はどのように広がるのか」であいさつしている/聯合ニュース

 19日に与党「国民の力」や「公正言論国民連帯」などの保守系の市民団体の共催で国会で開催された「福島第一原発汚染処理水緊急討論会」で、発題者がハンギョレを「怪談のスピーカー」だとして批判したことが、聯合ニュースをはじめとする一部メディアによって報道された。

 報道によると、「フクシマ怪談はどのように広がるのか」をテーマにした討論会で、「正しい言論市民行動」のホ・ヨプ理事は「3月の韓日首脳会談以降、民主党が(怪談を)提起し、軌を一にするハンギョレと京郷新聞がそのような怪談を拡大再生産し、スピーカー役まで果たしている」と主張した。

 何を根拠にハンギョレを「怪談のスピーカー」と呼んだのかが知りたいと思い、討論会の発表資料を入手した。発表資料でその理由まで具体的に説明されている記事は4件だ。その中で「民主党」が直接言及されているのは、7月12日付の1面掲載の「IAEA、汚染水をろ過するALPSの性能検証を一度もしていなかった」という見出しの記事だ。

 ホ理事は「(記事は)1週間前に民主党のイ・ソヨン議員が『ALPSの性能検証は抜け落ちている』と主張したのと同じ内容だ」と主張している。そして「イ議員の発言に対してSBSニュースの『ファクトチェック:事実は』チームは7月6日の放送で、7回の報告書を全数分析した結果、『ALPSでろ過した放出直前の段階の汚染水を検証した内容を見つけることができた』として、イ議員の発言は『概して事実ではない』と判定(した)」と付け加えている。

 しかしこの主張は、イ・ソヨン議員の発言とハンギョレの報道が同じ内容だという部分からして事実とは異なる。イ議員の発言が4日に発表された国際原子力機関(IAEA)による汚染水放出計画の安全性検討の結果に対するものであるのに対し、ハンギョレの報道はIAEAが2020年に発表した日本のALPS小委員会の報告書の検討結果に対するものであるからだ。

 韓国政府は、IAEAがALPSの性能検証をきちんと行っていないという指摘について「ALPSに対する検証はすでに終わっている」とし、「2020年度に検討して報告書を発表している」と説明してきた。ハンギョレは政府が言及したこの報告書を探し出し、ALPSの性能を検証した報告書ではないことを確認した。また、IAEAが2013年3月以降5回行っている別の検討でも、ALPSの性能に対する検証は検討範囲に含まれていなかったことを確認して報道した。

 SBSが「IAEAがALPSの検証を全くしていないと考えるのは難しい」という判断の根拠として提示したのは、たった一度の汚染水の試料分析の結果だ。しかし、この結果を記した報告書には、どこにも「ALPSの性能検証」という言葉がない。分析目的が東京電力の分析値の信頼性の確認であって、ALPSの検証ではなかったからだ。

 “IAEAはALPSの性能の検証をしていない”という記事をはじめ、ハンギョレの記事は、特定の政党の発表を書き写したものではない。このような記事が「怪談」なら、いっそハンギョレを「怪談の生産者」と呼ぶべきだろう。何の判断もすることなく入力される信号を増幅するだけの「スピーカー」と呼ぶのは、報道機関とジャーナリストに対するより大きな侮辱である。

キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1101106.html韓国語原文入力:2023-07-21 05:00
訳D.K

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