北朝鮮が13日、固体燃料を使った大陸間弾道ミサイル(ICBM)と推定されるミサイル1発を発射した。この推定通り北朝鮮が固体燃料のICBMの発射実験を行ったなら、今回が初めてとなる。固体燃料ミサイルは燃料を注入する過程が必要ないため、迅速に発射できる。
合同参謀本部は同日、「軍は13日午前7時23分頃、平壌(ピョンヤン)付近から東海(トンヘ)上に弾道ミサイル1発が発射されたことを把握した」とし、「北朝鮮の弾道ミサイルは高角に発射され、約1千キロメートル飛行後、東海上に弾着した」と発表した。ミサイルの頂点高度は3千キロメートル未満だという。韓国軍当局はこのミサイルが正常角度で発射された場合、飛行距離を5千キロメートル程度だと推定したが、その後、さらなる分析を通じてICBMである可能性も視野に入れているという。米国は同ミサイルをICBMだと規定した。
軍当局は、同ミサイルが新たな兵器体系である可能性も示唆した。合同参謀関係者は、「北朝鮮が新たなシステムの中距離ミサイル級以上の弾道ミサイルを発射したものとみている」とし、「軍事パレードで公開した複数の兵器体系のうち一つとだと判断している」と述べた。北朝鮮は今年2月の軍事パレードで、新型固体燃料ICBMなどを公開した。合同参謀本部は「衛星を打ち上げるための初期段階の実験かもしれない」と付け加えた。北朝鮮は今月までに軍事偵察衛星1号機の準備を完了すると発表した。
特に軍当局は、同日のミサイルが固体燃料を使用した可能性があると分析した。固体燃料は燃料注入に時間がかかる液体燃料とは異なり、乾電池を入れるように簡単にミサイルに搭載できるため、迅速な発射が可能だ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、北朝鮮の弾道ミサイルを事前に捉えて先制打撃するキルチェーンと、韓国型ミサイル防御(KAMD)、大量反撃報復(KMPR)を含む3軸体系を北朝鮮の核・ミサイル対策としているが、北朝鮮が固体燃料ミサイルを発射すれば事前の捕捉と対応は難しくなる。固体燃料ミサイルは上昇スピードも液体燃料ミサイルより速い。
合同参謀本部はミサイル発射の背景として「北朝鮮が4月15日の太陽節(故金日成主席の誕生日)などを控え、核武力を誇示して内部結束を固め、韓米の拡大抑止力に対する反発を示すためのものである可能性もある」と述べた。北朝鮮は7日から南北共同連絡事務所と東海・西海(ソヘ)軍通信線を通じた定期通話に応じていない。
大統領室は同日、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開き、「北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことを強く糾弾し、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の正常化に基づいて韓米、韓米日の情報共有をさらに強化することにした」と述べた。