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日本国民の52%「福島原発汚染水の海洋放出、国民の理解得られていない」

登録:2023-04-05 05:06 修正:2023-04-05 08:17
汚染水の試料採取、2カ月後に結果 
否定的な世論にもかかわらず、今夏の放出を強行する方針
福島第一原発の敷地に保管されている汚染水タンク=東京電力提供//ハンギョレ新聞社

 日本国民の半数以上が、東京電力福島第一原発の敷地に保管中の放射能汚染水の海洋放出について「国民の理解は得られていない」と考えていることが調査で明らかになった。日本政府は、漁業関係者らが反対しており、世論も否定的であるにもかかわらず、今夏海洋放出を強行する方針だ。

 日本原子力文化財団は4日、全国15~79歳の男女を対象に昨年9~10月に訪問調査(回答者1200人)を行った結果、回答者の51.9%が汚染水の海洋放出と関連して「国民の理解は得られていない」と答えたと発表した。「国民の理解は得られている」という回答はわずか6.5%にとどまった。

 漁業関係者などが汚染水の放出に強く反発している中、「関係者の理解を得られるまでは(海洋放出を)行うべきでない」という回答が42.3%を占め、「関係者の理解を得られなくても行うべき」(5.6%)より圧倒的に多かった。東京電力は2015年8月、社長自ら汚染水の海洋放出について「(漁業)関係者なしには、いかなる処分もしない」という立場を文書で表明した。これは福島県漁業協同組合連合会の要請で作られたもの。朝日新聞は今回の世論調査の結果について「漁業者との約束を守るべきだと考えている人が多いことを示している」と報じた。

 福島原発汚染水の安全性についても疑念を抱いている人が多いことが分かった。「処理水(汚染水)の海洋放出の安全性について、科学的な根拠が示されていない」と考える人は回答者の24%で、「示されている」(9%)より2倍以上多かった。また回答者の39.4%は「第三者機関や国際機関などによって監視されるべき」という立場を示した。「監視されるべきでない」という回答は2.3%にとどまった。

 そのため、汚染水が放出されれば、福島産水産物が打撃を受けざるを得ないものとみられる。「処理水の海洋放出が始まると、国内の消費者が福島県などの農林水産物の購入をためらうと思う」という意見が34.5%で、「ためらうことはないと思う」(10.8%)より3倍ほど高かった。

 だが、汚染水の放出に向けた東電の工事はすでに大詰めを迎えている。この工事の中心となるのは、実際放出が行われる沖合約1キロメートル地点まで海底トンネルを新しく作る作業だ。海底トンネルを通じて海岸から少し離れたところから汚染水を放出すれば、放射性物質のトリチウムの希釈が容易になり、水産物への影響をめぐる懸念で漁業関係者が受ける被害も減らせるというのが日本政府の判断だ。

 海底トンネルの出入口の工事は先月23日に終わった。約830メートル地点で掘削作業を中断したトンネルは、近日中に工事を再開し、出口と入口をつなぐ予定だ。東電は6月までにすべての工事を完了する方針だ。東京電力は汚染水が放出基準を満たしているかどうかを調べるため、放射性物質濃度を測定する試料の採取を先月27日実施しており、検査結果は2カ月後に出る。

 日本政府は福島原発汚染水(132万トン)の放射性物質の濃度を法的基準値以下に下げた後、今夏から30年にわたり海に放出する。多核種除去設備(ALPS)で除去されないトリチウムは基準値の40分の1以下に濃度を希釈して海に放出することになる。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1086440.html韓国語原文入力:2023-04-05 01:30
訳H.J

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