[焦点] 日本‘高校授業料無償化’政策で、朝鮮学校は除外の動き…
国連 差別撤廃協約 違反にかかわらず日本政府は苦しい言い訳ばかり
日本でいわゆる‘高校無償化’方針は‘すべての子供の平等な学習権保障’という教育理念を旗じるしに掲げた鳩山政権の核心公約であり、国籍に関係なく国公立・私立学校に通う高校生をもつ家庭に授業料を全額または一部を支援するという内容だ。朝鮮学校に通う場合、年間約120万ウォンの支援金を受け取ることができる。朝鮮学校の父母たちは学費が軽減されるというこのニュースを歓迎しながらも、一貫して朝鮮学校を差別してきた日本政府が 果たして今回の政策を現実化するか疑問を振り切ることができなかった。朝鮮学校は私立学校とは異なり、政府補助金を全く受けることができないばかりか、他の外国人学校とは違い学校寄付金に対する税制恩恵も適用を受けられないという差別を受けてきた。学校運営に必要な財政をほとんど父母に依存してきており、教師たちは給与を欠くことさえある。朝鮮人に同化を強要する日本の姿勢は、植民地時代も今も大きく変わらない。
←鳩山(左側)政権が‘高校教育費無償化’政策を展開し、朝鮮学校は除こうとする動きを見せている。右側は閣僚の中で朝鮮学校は支援してはならないという主張を最初に提起した中井洽国家公安委員長兼拉致問題担当相。AP連合・EPA連合
極右団体襲撃が続き 日本閣僚は約束不履行
案の定、去る2月20日 中井洽国家公安委員長兼拉致問題担当相が今年4月から施行する高校無償話法案から朝鮮学校は除かなければなければならないとブレーキをかけ問題が始まった。要するに日本人拉致問題が未だ解決されておらず、朝鮮学校は北韓の学校だという主張である。これに対し日本言論は連日、事実報道とともに憂慮と批判の声を伝えている。まず外交問題を理由に子供の学習権を左右することが穏当かという国際法に基づいた批判だ。また‘朝鮮学校は即ち北韓の学校’という等式化は朝鮮学校の現実をよく知らないことから始まったということだ。ある日刊紙は社説を通じ、中井拉致問題担当相と川端達夫文部科学相に朝鮮学校視察を薦めることもした。
「私たちに対する日本の差別意識は一つも変わっていない。国連でも今回のことを明白な人権侵害と言った。大きな力だ。右翼の襲撃と日本政府の差別に対抗し、学校を守るために戦うだろう。日本が過去、私たちの民族に犯した罪を考えても。そしてこういう時代を子孫にずっと残すことはできないではないか。」最近、日本の極右団体の相次ぐ朝鮮学校襲撃事件と今回の高校無償化法案事態を眺める限り、在日朝鮮人父母の悲壮な心情だ。
朝鮮学校の受難と誇りの歴史は1945年解放と共に自発的に生じた約600ヶの朝鮮人学校に始まる。解放を迎えた朝鮮人たちは故郷に帰るという期待の中で、その間奪われていたウリマル(民族の言葉)と歴史,文化を子供たちに取り戻させることが急務と考えた。南と北の区分のようなものはなかった。これに対し日本政府は、朝鮮人の子供も日本の学校に通い日本式義務教育を受けなければなければならないと対抗した。そして1948年‘阪神教育闘争’が起きた。朝鮮人学校を全て閉鎖しろとの命令に、数万人の同胞が激しく抵抗した朝鮮学校弾圧の象徴的事件だ。この渦中にキム・テイルという16才の少年が日本警察の銃に撃たれ亡くなる悲劇が起きた。
以後、南北分断の民族的不幸は在日朝鮮人社会を揺り動かした。南側独裁政権はこれらがまもなく日本人に帰化すると見て‘棄民政策’を展開した。北側は援助金を送った。朝鮮学校が北側の影響を受け思想教育を強調した時期もあった。しかし、今の朝鮮学校には韓国籍を含め多様な国籍の生徒が通っている。私たちが出会うウリマルを話せる在日同胞は大部分が朝鮮学校を出た人々だ。
ウリマル話す在日同胞, 大部分が朝鮮学校出身
朝鮮学校は依然として美容学院や自動車学校と同じ‘各種学校’に分類され、差別的取り扱いを受けているが、日本政府が定めた学習指導要領に合わせ授業カリキュラムを組んでおり、学校認可を決める各地方自治体にカリキュラムなど関連情報が公開されている。また日本の国公立大学の大部分が朝鮮高級学校卒業生の入学を認めている。
民族的差別と下層民としての生活苦に苦しめられながらも、子供だけは堂々とした朝鮮の人として教えなければならないという同胞の強い信念と教育の熱意が今の朝鮮学校を作ってきた。朝鮮学校に通うということは、学習という一次的教育の次元を越え、未だ過去の植民主義歴史清算を敬遠する日本の土地で民族の誇りを守り一人の人間としての尊厳を守るための奮闘に違いない。
“最近、北-日関係が学校に通う子供たちに影響を与えていると聞いた。外交関係が生徒たちに影響を与えてはいけない。”“朝鮮学校に対する差別的暴言と暴力が起きている。日本政府はどんな処罰をしているのか?”
筆者は日本で朝鮮学校を巡る論難が大きくなった去る2月24~25日、スイス,ジュネーブで開かれた国連人種差別撤廃委員会(UNCERD)の日本政府報告審査会議に参加した。人種差別撤廃協約批准国家は原則的に2年ごとに報告義務があるが、日本は9年ぶりに2回目の審査に応じた。委員らは教育・就職・年金・参政権など、多様な分野で在日朝鮮人が受けている政策的・社会的差別に対し追及した。ある委員は前回報告時に比べ全く状況が改善されておらず、委員会の勧告を受け入れようとする努力が見られないと言い切った。
今回の朝鮮学校排除論難と関連しては国連市民的・政治的権利に関する国際規約27条が保障するマイノリティの学習権侵害であり、人種差別撤廃協約5条が規定する学習権の平等な保障に違反するという点が指摘された。これに対し会議に参加した文部科学相官僚は“国会での審議を見守り慎重に対応する”という常套答弁で回避した。
しかしこのような国際世論の波紋を意識したためか、日本政府は拉致問題が今回の問題の判断根拠ではないと修正見解を表明し、代りに朝鮮学校が何を教える学校なのか確認できないという苦しい口実を新たに持ち出した。
国連人種差別委, 学習権侵害指摘したが
国連 人種差別撤廃委員会は3月中旬に最終見解を発表する予定で、日本政府はこれに先立ち結論を出すものと見られる。今回の問題で16年ぶりの非自民党政権であり、1945年以後初めて野党が過半数を占め政権交替を実現した鳩山政権の歴史認識と人権水準が国内外的に試験台に上がったわけだ。
パトリック ソンベリー国連人種差別撤廃委員
“差別実態 把握もできず…差別禁止法 制定から”
←パトリック ソンベリー国連人種差別撤廃委員
国連 人種差別撤廃委員会(UNCERD)のパトリック ソンベリー委員は「日本政府の報告と返答が前回審査以後ほとんど改善されていなかった」とし「何よりマイノリティ当事者たちの規模と差別実態などに関する基本的な統計のような情報がさらに必要だ」と指摘した。例えば日本政府報告書には日本国籍を取得した少数民族の姿が見られないということだ。ソンベリー委員はまた「朝鮮学校襲撃事件を動画で見たが、このような事件がどれほど頻繁に起きているのか、政府報告書では分からない」とし「基本的な統計調査は状況と問題を診断し政策をたてる上で大変重要だ」と強調した。
彼は「外国人でもなく少数民族でもない特別永住資格という独特の地位を持った在日朝鮮人は、明らかに世界的に珍しい事例」として「日本国籍取得を自発的に拒否し国籍を維持しようとするのは、日本が過度に同化政策を強要した結果ではないか」と反問した。特に在日朝鮮人教育問題に関しては、より一層平等な措置が取られなければならないというのが彼の見解だ。
ソンベリー委員は何より緊急な課題として反差別法の制定を挙げた。アイルランド出身の彼は1960年代まで英国本土に行けば、食堂に‘犬とアイルランド人出入り禁止’という札が堂々と懸っていた経験を紹介し「1965年頃、民刑事上で人種差別を禁止する法律が制定され、こういう露骨な差別が消え始めた」と伝えた。彼は在日朝鮮人差別問題に対応する戦略も助言した。「人権教育と啓蒙運動だけでは足りない。必ず民刑事上の処罰を受けるようにする差別禁止法が制定されなければならない。在日朝鮮人組織と関連市民団体は国際的な戦略でさらに積極的に国際条約と関連した国際会議に参加する必要がある。」
原文: http://h21.hani.co.kr/arti/special/special_general/26861.html 訳J.S