大庄洞(テジャンドン)開発事業に便宜を図った見返りに、民間事業者から息子の退職金の名目で50億ウォン(約5億2000万円)の金銭を受け取った疑いで起訴されたクァク・サンド前議員が、一審無罪を宣告された。これを受け、韓国の20~30代の若者たちは虚しさと怒りをあらわにしている。若者たちは検察と裁判所に対して「親の威力の存在に目をつぶった」と批判した。
クァク前議員の息子が卒業した大学に在学中のアン・テウさん(24)は9日、本紙の取材に対し「火天大有(クァク前議員の息子が勤務した会社)は大企業でもなく、資産を管理する中小企業なのに、一社員に退職金50億ウォンを与えるなんてあり得ない」とし、「法の抜け穴を利用した典型的な身びいきだと思うが、働いた分の報酬を受ける職を見つけることさえ難しい私たちの世代にとっては、虚しいニュースに聞こえる」と話した。
アンさんが在学中の大学の匿名コミュニティにも「虚しい」、「あり得ない」などとする書き込みが上げられているという。法学専門大学院を卒業して就職を準備中のAさん(32)も「こういう判決が出たということが、法を学んだ人間として恥ずかしかったし、利害関係が絡んでいるのではないかとの疑念がわく」とし、「結局は『親ガチャ』だという現実を示しているようで苦々しく思う」と話した。
就職を控えた若者だけではない。社会人たちも虚しさを感じているのは同じだ。会社員のOさん(33)は「ここ5年勤めてきた会社を辞めたくて退職金を計算してみたら約2000万ウォン(約208万円)だったのに、クァク氏は6年間勤めて50億ウォンを受け取ったというのだからばかばかしくなる」とし、「父親がクァク・サンドでなかったら、果たしてこんな金額をもらえただろうかと思う」と語った。ツイッターでは「退職金50億」がリアルタイムトレンドとなり、「今年の年末調整で還付を受けたことを喜んでいた人間と、『業務ストレス労災』で50億の退職金をもらって収賄で無罪が出た人間が同じ国に住んでいる」というツイートが多くの共感を得ている。
クァク前議員とすでに独立している息子は経済的共同体ではないということが判決の主な根拠とされたことを皮肉る反応も出ている。社会人コミュニティ「ブラインド」には「国会議員の息子や娘が独立していれば賄賂ではないということだが、本人がわざわざ(賄賂を)もらおうとしなくても、子どもを就職させておけば裁判所は目をつぶってくれると認めた格好」、「クァク・サンド判決の意味するところは、今後の合法的な贈賄や収賄の方法を創造したということ」という書き込みがなされている。