本文に移動

ペットとして「第二の生」…ウサギの愛情表現はどれほど愛らしいか

登録:2023-01-25 02:15 修正:2023-01-25 08:55
[アニマルピープル]保護施設「クシクシ」運営中のウサギ保護連帯 
「第三のペット」と呼ばれているが、自治体や学校も遺棄 
「『放し飼い』だといって捨てられたら3年も生きられない…責任ある引き取りを」
15日、京畿道水原市のウサギ保護連帯の保護施設「クシクシ」で。ウサギが干し草を食べている=キム・ジスク記者//ハンギョレ新聞社

 長い耳、大きな目、モフモフで小さくてかわいい動物、ウサギ。身近な動物であるウサギについて、私たちはどれほど知っているだろうか。

 15日昼、京畿道水原市(スウォンシ)でウサギ保護連帯(以下「ウ保連」)が運営する保護施設「クシクシ」を訪ねた。韓国唯一のウサギ・小動物保護団体が運営するウサギ専門の保護施設だ。ドアを開けると、強い草の香りが迫ってきた。70羽あまりのウサギが1~2羽ずつケージの中にいた。昼間は活動を減らし、ほとんど休んでいるウサギたちは、おとなしく干し草をはんだり、仲間の体に寄りそって休んだりしていた。

捨てウサギの世話をする団体の結成

 ウサギはおとなしく、人は忙しく動き回っていた。運営スタッフのイム・ヘヨンさん、チェ・スンヒさんがウサギたちのコンディションをチェックする間に、定期ボランティアがウサギの水と干し草を補充していた。「今年が兎年だからってインタビュー要請がとても多いんです」。イムさんが手を止めずに言った。単に喜んでばかりはいられないという。ウサギに対する関心が「購入」につながるのではないかと心配だというのだ。

クシクシ運営陣のイム・ヘヨンさん(左)とチェ・スンヒさんがウサギたちとポーズを取っている=キム・ジスク記者//ハンギョレ新聞社

 「ウサギがペットショップやスーパーで2~5万ウォン(約2100~5260円)で買えるというのは本当に大きな問題です」。チェさんは入手のたやすさが遺棄につながると話した。チェさんは、ウサギは近ごろイヌとネコに続く第三のペットと呼ばれるが「第三の遺棄動物」となりつつあるとため息をついた。動物自由連帯の「2016~2020遺失・遺棄動物分析報告書」によると、動物保護センターに入所するウサギは年平均320羽あまり。

 イムさんが2019年にソウルの汝矣島(ヨイド)公園で救助したウサギ「マーブリ」を抱いて出てきた。マーブリは当時、9羽の子ウサギとともに捨てられていた。子ウサギたちはみな引き取り手が見つかったが、マーブリはまだ新しい家族に出会えていない。「クシクシの歴史を共にしてきた仲間なのに、まだ保護施設にいるのでかわいそう」

ウサギ保護連帯の保護施設「クシクシ」の内部。現在、保護施設には70羽あまりのウサギが暮らしている=ウサギ保護連帯提供//ハンギョレ新聞社

 ウ保連の出発には「捨てウサギ」がいた。2018年、ソウル瑞草区(ソチョグ)のモンマルトル公園は増えた捨てウサギで頭を悩ませていた。何者かによって1、2羽捨てられたウサギが、同年10月には80羽あまりに増えていた。瑞草区は適切な対策を打ち出せなかった。いくつかの動物団体と市民は、自らウサギを捕獲して中性化し、ボランティアで定期的に世話しはじめた。ネイバーカフェ内にボランティアコミュニティ「草をはむウサギの園」が作られると、ウサギに関する各種の情報が提供された。

自治体や学校まで…たやすく飼いはじめ、捨ててしまうウサギ

 2020年夏にソウル東大門区(トンデムング)の拝峰山(ペボンサン)で起きたウサギ飼育場事件が代表的な例だ。東大門区は住民に対する「レジャー提供」を目的として2019年に20羽のウサギを購入し、公園内の回遊路のそばにウサギの飼育場を作った。中性化されていないウサギは1年間で100羽あまりに増えた。

2020年6月、ソウル東大門区が拝峰山近隣公園にウサギの飼育場を設置し、個体が100羽あまりに増えて物議を醸した=ウサギ保護連帯提供//ハンギョレ新聞社

 「本当にあきれました。私たちがよく飼うウサギはペットとして改良された種です。気温の差が大きい韓国の外部環境では生き残れません。その年は梅雨がひどかったんですよ。劣悪な環境でなわばり争いで攻撃し合い、生まれたばかりの子ウサギたちは死んでいきました」。チェさんは、当時の公務員がウサギを「材料費」として予算を策定したことが地方自治体の動物認識を示していると批判した。

 拝峰山の80羽あまりのウサギは、当時オープンしたばかりのクシクシに急きょ救助された。拝峰山だけではなかった。全国の自治体と機関が公園、施設、学校、病院などに作ったウサギの飼育場は1、2カ所では済まなかった。ほとんどがウサギの強い繁殖力と習性を知らずに育て、個体数が増えるということが繰り返された。

2020年夏、大雨で拝峰山にいたウサギたちが生死の危機にさらされ、ウ保連は子ウサギたちを救助した=ウサギ保護連帯提供//ハンギョレ新聞社

 昨年7月には、京畿道軍浦市(グンポシ)の修理山(スリサン)に40羽あまりのウサギが集団遺棄される事件が起きた。ソウル西大門区(ソデムング)のある初等学校の教師たちが、飼っていたウサギを「放し飼いに」すると言って捨てたことが明らかになった。「遺棄の主体が教師だったというショックな事件でした。高等教育を受けて国家試験に合格した先生たちが、遺棄と放し飼いの違いを知らなかったのでしょうか」。イムさんはそうではないはずだと断言した。イムさんは、そのように捨てられたウサギは3年ももたずに死ぬと語った。ペットのウサギの平均寿命は10~13年だ。

「幸せなウサギ、やみつきになる魅力」

 ウサギはイヌやネコとは違うが、ウサギをペットにするのはイヌやネコをペットにするのと大きく違うわけではない。イムさんたちが強調するのは「責任感を持った飼い主」だ。「イヌやネコを飼う時も、何の情報も常識もなく飼ったりはしないでしょう。少なくともひとつの命に責任を取るためには、最小限の準備はすべきです」

ソウルの汝矣島公園に母ウサギやきょうだいたちと捨てられた「ホドゥ」は今、新しい飼い主に出会って幸せに過ごしている=ウサギ保護連帯提供//ハンギョレ新聞社

 先日、10年を共に過ごしたウサギ「クムボギ」を失ったイムさんは、ウサギを理解すればウサギならではの魅力にはまると語る。「ウサギが与えてくれるやすらぎがあるんです。草食動物なので警戒心は強いですが、互いに信頼を築いていく過程は本当に特別です」。捨てウサギだったクムボギは引き取り後、目を閉じて眠るのに2~3週間かかったが、その後は毎朝イムさんの顔に「ラビットキス(ウサギが手や足、顔をなめる愛情表現)」をしてくれた。

 チェさんは、そのようにウサギたちが「第2の兎生」を生きる姿をみると「やみつきになる」と話した。クシクシは6人の運営陣と20人あまりのボランティアで運営される。スタッフの血、汗、涙、財布で運営されているということだ。「とても大変ですよ。でも先日、某所でウサギの飼育場が計画されていたのが、『近ごろはウサギ保護団体もあるので、むやみに作ってはいけない』ということで撤回されたそうです。本当にやりがいを感じました」

 兎年も「動物は買わずに引き取りましょう」に例外はない。

水原/キム・ジスク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/animalpeople/companion_animal/1076707.html韓国語原文入力:2023-01-23 17:08
訳D.K

関連記事