本文に移動

韓国、「西海公務員殺害」関係者の相次ぐ釈放にも…前国家安保室長に拘束令状請求

登録:2022-11-30 06:27 修正:2022-11-30 07:35
令状発行された場合、文前大統領の取り調べを検討
ソ・フン前国家安保室長が3月、大統領府与民館で開かれたオンライン国務会議で資料を検討している/聯合ニュース

 西海(ソヘ)公務員殺害事件を捜査している検察が29日、前大統領府国家安保室長のソ・フン氏に対する拘束令状を請求した。ソ前室長が文在寅(ムン・ジェイン)政権の中心的な安保関係者の中でも最高責任者だったことから、拘束可否によっては文前大統領の調査の必要性も検討されるものとみられる。

 ソウル中央地検公共捜査1部(イ・ヒドン部長)は同日午前、職権乱用権利行使妨害および虚偽公文書作成などの疑いでソ前室長の拘束令状を裁判所に請求した。検察は西海事件が発生した2020年9月末、ソ前室長が海洋警察庁と国防部に「越北(北朝鮮に渡ること)判断の指針」を下し、国防部と共謀して「越北の可能性が高い」という趣旨の合同参謀報告書を作成したと疑っている。検察はまた、当時文在寅大統領が主宰し、ソ・フン室長とソ・ジュソク国家安保室第1次長、ノ・ヨンミン大統領秘書室長らが出席した関係長官会議で、資料削除などを謀議した情況があるとみている。検察は24~25日、ソ前室長を呼び出し、西海事件当時に大統領にどのような内容を報告し、大統領はどのような指示をしたのかなど、文前大統領への報告と指示内容を詳しく尋ねたという。

 ソ前室長側は容疑を全面否定している。諜報資料の削除などを指示したこともなく、これと関連して文前大統領の指示を受けたり、大統領府内部で資料削除を共謀したりした事実自体がないと主張している。

 法曹界では、これに先立って同じ容疑で拘束されたソ・ウク前国防部長官とキム・ホンヒ前海洋警察庁長が拘束適否審で釈放された状況で、検察が彼らの上層部といえるソ前室長の拘束令状を請求した意図に注目している。検察捜査が限界にぶつかり、当時大統領府の安保関係者のトップだったソ前室長の拘束捜査を通じて捜査の動力の確保を狙っているというのが、法曹界の大方の見解だ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権になって監査院や国家情報院、国防部、統一部などが動員されたこの事件は、「自主的な越北」だったという文在寅政権の判断を、現在の関連政府省庁が「自主的な越北の証拠はない」と覆し、検察捜査につながった。これに先立ち、監査院は文前大統領に対する書面調査を試みた。ソ前室長に対する検察の拘束令状請求が文前大統領の取り調べのための中間段階であるとみられているのもそのためだ。

 裁判所がこの事件と関連して3回目の拘束令状を発行するかどうかも関心事だ。前政権の北朝鮮関連情報の解釈と判断を刑事処罰の対象にすることをめぐり、法曹界内外の意見が分かれているうえ、これに先立ちソ・ウク前国防部長官とキム・ホンヒ前海洋警察庁長の2人が拘束捜査を受けて釈放された事案であるためだ。ソ前室長が検察の取り調べを控えて自ら帰国するなど、拘束捜査の要件である逃亡の恐れも極めて低い。ソ前室長の拘束前被疑者尋問(令状実質審査)は来月2日午前10時、ソウル中央地裁のキム・ジョンミン令状専担部長判事が務める。

 検察出身のある弁護士は「西海事件の主要被疑者2人が拘束されて釈放された状況なので、ソ前室長の拘束可否は簡単には予測できない。裁判所が拘束の必要性を認めれば検察としては一安心だが、拘束令状が棄却されれば、主要被疑者3人が相次いで釈放され、捜査の動力を失うこともありうる。結果次第で、今後の検察捜査の成否がかかっている」と述べた。

ソン・ヒョンス記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1069451.html韓国語原文入: 2022-11-29 20:26
訳H.J

関連記事