本文に移動

[インタビュー]「『東海・日本海併記』30年間主張してきた韓国が先に実践すべき」

登録:2022-10-05 06:24 修正:2022-10-05 10:40
東海研究会会長チュ・ソンジェ教授
東海研究会長のチュ・ソンジェ教授が9月29日、慶煕大学研究室で東海・日本海併記運動30年について語っている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 「東海(トンヘ)併記運動30年の最大の成果ですか? この問題を世界に広く知らしめたことです。今や地名専門家と地図製作会社が(この問題について)意識しています。むやみに単独表記できません」

 韓国が国際的に使われる東海水域の表記を「日本海」ではなく「東海と日本海(east sea・sea of Japan)」を併記しよう」という運動を始めて、今年でちょうど30年になった。この運動を主導してきた東海研究会の第4代会長である慶煕大学地理学科のチュ・ソンジェ教授は、「国際的に東海の併記をさらに拡散させるためには、韓国の主張が『日本海という表記を東海に変えよう』というのではなく、これを一緒に使おうという『併記』であることを韓国社会がより深く理解しなければならない」と語った。

 先月29日、慶煕大学の研究室でチュ教授に会った。

1991年の南北国連同時加盟を機に 
1992年の地名標準化会議で「併記」を提案 
研究会の運動で国際社会の認識変えた 
「併記表記率50%近くに増加傾向」 

2年前から地名の代わりにデジタル番号に 
「国外用の地図製作の際、併記試みる価値がある」

チュ・ソンジェ教授が9月29日「東海併記運動」30年の成果を継続する案を示している=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 韓国人にとってあまりにも当たり前の「東海」を国際的に認めてもらうための運動が1992年に始まったのは、分断と冷戦に関わる朝鮮半島をめぐる複雑な事情があったからだ。韓国と北朝鮮の国連同時加盟が実現したのは、大韓民国が建国されてから40年余りが経った1991年9月だった。ところが加盟の後、多くの国連機関は当たり前のように各種公文書に東海の水域を日本海と単独表記していることを知った。この事実に驚いた外交部は1992年6月、文化部や教育部、公報処、交通部(水路局)、建設部(国立地理院)など関係省庁との協議を経て、7月に「東海名称の国際通用推進対策案件」という文書を作成した。これを通じて韓国政府は「日本海という表記を東海に変えよう」というのではなく、「東海と日本海を併記しよう」という原則を定めた。韓国政府が国際社会でこれを初めて主張したのは、1992年8月に開かれた第6回国連地名標準化会議の時だった。それがこの30年に及ぶ長い戦いの始まりだった。

 韓国の併記主張は国際社会に少なからぬ波紋を呼んだ。自分と自分の周りにある山や川や海を何と呼ぶかは、その人のアイデンティティと関連した非常に重要な問題だ。その上、自分の歴史とアイデンティティだけが重要だという「東海単独表記」ではなく、相手を認め、共存を追求しようという「併記」だった。世界の地名専門家たちが耳を傾けざるを得なかった。効果はゆっくりだが着実に表れた。外交部が在外公館を通じて調査した内容によると、2000年にはわずか2.8%に過ぎなかった各種世界地図と教科書の併記率は、2009年には28.1%まで高まった。その後、外交部は正確な数値を公開していないが、最近の併記率は40%程度だという。

 チュ会長は「この運動を通じていつでも私たちと志を共にすることのできる強固な国際的ネットワークが作られたことも、大きな成果」と話した。「そういう意味でも併記が重要。いつだったか、ある政府機関のホームページに『東海併記運動の究極の目標は東海単独表記』と書かれたことがあります。英国地名委員会事務総長を務めたポール・ウッドマン氏は、電子メールを送ってきて尋ねました。『これが本当なのならば、あなたたちとこれ以上共にすることはできない』と」

 2020年には重要な変化が起きた。これまで東海併記運動の「主戦場」になってきた国際水路機関(IHO)で1929年に発行された「大洋と海の境界(S-23)」が、デジタル時代に合うS-130という新しい標準に変わった。これを通じてS-23によって付けられた「紅海」や「地中海」のような地名が消え、「固有の識別番号」(数字)が作られた。日本海の単独表記を東海との併記に変えることはできなかったが、将来導入されるデジタル標準では日本海など海の名称自体をなくす成果を上げたのだ。

 さらに一歩進んで考えると、この30年は東海併記だけでなく、地名に対する人類の認識が広がる時期でもあった。チュ会長は最近、地名と関連した「国際的な流れは包容(inclusion)と、地名を文化遺産的観点から見ようという動き」だとした。「米国では『ブラック・ライブズ・マター(BLM)』(黒人の命も大切)運動が重要になり、人種差別的な意味のある地名を排除する動きが続いています。また、国連ではそれよりずっと前の2002年頃から、地名を文化遺産的観点から見るための考察が始まりました。北欧諸国が北極圏で暮らしてきたサーミ族の使う地名や、オーストラリアとニュージーランドが先住民の地名を守ろうとしているのです」。このような流れにより、アラスカ最高峰であるマッキンレーの名前は、2015年に先住民の名称である「デナリ」に変更された。世界のへそと呼ばれるオーストラリアの「エアーズロック」は、1993年に先住民の言語の「ウルル」(偉大な石)と併記されている。ニュージーランドでは国名自体をマオリ語にちなんで「アオテアロア」(長く白い雲のたなびく地)と呼ぼうという運動が起きている。

 もう一つの重要な変化は、デジタル時代の地名だ。世界の人々が紙の地図ではなく「グーグルマップ」を主に利用するようになり、多くのことが変わった。「デジタルにより複数の地名を収容できるようになり(多様性)、スケール(縮尺)に応じて柔軟に調整することもできます(柔軟性)。韓国で東海水域を検索すると東海、日本で検索すると日本海と出ます。第三国で探すと、まず『シー・オブ・ジャパン』が現れ、何度もズームインしないと『イースト・シー』は出てきません。私たちの主張はこの二つを同等な水準で扱うべきということです」。チュ会長は「グーグルマップの担当者も韓国の主張をよく知っているが、実際的な変化が起きるためにはグーグルの本社レベルで政策が変わらなければならない」と語った。

 だが、東海併記問題を究極的に解決するためには、日本との共感を広げなければならない。チュ会長はこのため、「韓国が主張してきた併記の提案を自ら実践してみるのはどうかと思う」という大胆な案を示した。「韓国語の地図は当然東海です。でも、国土地理情報院が英語など外国語で制作する地図に併記してみるのはどうでしょうか。国際社会は、東海という名称を広めるために韓国が取った成熟した態度として受け止めるでしょう。私たちは和解と解決を目指さなければなりません」

キル・ユンヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/asiapacific/1061174.html韓国語原文入:2022-10-04 02:34
訳H.J

関連記事