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韓国政府、ローンスターとの国際紛争で300億円の賠償責任

登録:2022-09-01 05:12 修正:2022-09-01 08:52
国際投資紛争解決センター、韓国政府に2億1650万ドルの賠償判定 
法務部「判定は受け入れがたい…取消申立てを検討」
2006年、ソウルの駅三洞に入居していたローンスター/聯合ニュース

 米国系私募ファンドのローンスターが韓国政府を相手取って起こした投資家・国家国際紛争解決制度(ISDS)事件で、韓国政府に2億1650万ドル(約300億円)の賠償責任が認定された。2012年11月にローンスターが国際投資紛争解決センター(ICSID)に訴訟を起こしてから10年たってのことだ。当初ローンスターが請求していた46億7950万ドル(約6500億円)の4.6%の水準だが、争点の中心だった外換銀行売却の遅延損害金の半分を弁償するという決定が出たのだ。韓国政府は、賠償判定の取消申立てを積極的に検討することにした。

 ICSIDの仲裁判定部は先月31日午前9時(韓国時間)、法務部にこのような内容の仲裁判定の結果を伝えた。法務部は同日午後2時、会見を通じて「ローンスター側の主張の一部を引用し、韓国政府が2億1650万ドルを賠償するよう判定を下した」と明らかにした。仲裁判定部は、外換銀行の売却金額が確定された2011年12月3日から賠償金の完納時まで、利息(1カ月満期の米国国債の収益率基準)も支払うよう求めた。法務部が計算した遅延利子は185億ウォン(約19億円)程。

 2003年に産業資本であるローンスターの買収資格と安値売却の議論のなか、外換銀行を買収したローンスターは、2007~2012年に外換銀行を売却する過程で、韓国政府の売却承認の遅延と不当な課税によって被害を受けたとして、2012年11月、ICSIDに仲裁を申し立てた。当時、ローンスターは外換銀行の株式51%を1兆3834億ウォン(約1400億円)で買収した後、2007年に香港上海銀行(HSBC)と5兆9000億ウォン(約6100億円)台での売却契約を締結したが、翌年の世界金融危機などの理由により取り消された。その後、ローンスターは2010年に外換銀行の株式をハナ金融持株に4兆6888億ウォン(約4800億円)で引き渡すことで契約し、2012年に7732億ウォン(約800億円)減の3兆9156億ウォン(約4000億円)で最終的に取引がなされた。

2003年11月3日、外換銀行の労働組合員たちが本店で取締役会議の召集に反対し大株主であるローンスターの透明経営を求める座り込みをしている/聯合ニュース

 配当と再売却を通じて4兆7000億ウォン(約4900億円)の差益を残し、“食い逃げ議論”を起こしたローンスターは、2回にわたる売却推進の過程で、韓国金融当局が意図的に売却承認を引き延ばし、ハナ金融持株に売却代金値下げの圧力をかけ、被害を受けたと主張した。 一方、韓国政府は、ローンスターの大株主としての適格性に関連した監査と捜査・裁判などが進められ売却承認が遅くなったものであり、値下げるよう圧力をかけた事実はないと反論した。

 仲裁判定部は、韓国政府の売却承認の遅延行為に対しては、ローンスター側の主張を受け入れ、投資保障協定の公正・公平待遇義務違反に該当すると判断した。ただし、その過程で、ローンスターが外換カードの株価操作事件で有罪判決を受けるなど、売却価格の値下げには半分の責任があるとみて、この事案に関するローンスターの請求金額(4億3000万ドル)の半分にあたる2億1650万ドルを賠償額として判定した。仲裁判定部は、残りの租税争点などについて、ローンスターが請求した44億6000万ドル(約6200億円)に対しては「管轄ではなく、差別的な待遇もなかった」とし、すべて棄却した。

 ハン・ドンフン法務部長官は会見で「請求額に比べ大幅に減額されたが、仲裁判定部の判定は受け入れがたい。政府は判定取消申立てなど後続措置を積極的に検討する」と述べた。

カン・ジェグ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1056951.html韓国語原文入力:2022-08-31 21:50
訳M.S

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