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韓国で「警察が料理用の包丁を持ち歩いていた移住労働者を過剰鎮圧…外国人差別」

登録:2022-07-05 04:13 修正:2022-07-05 07:58
人権団体「抵抗の意思ないのにテーザー銃発射」 
光州光山警察署「包丁を落としたのが見えず」
光州・全南移住労働者人権ネットワークが4日、光州広域市東区の国家人権委員会光州事務所前で記者会見を行い、先日の移住労働者の過剰鎮圧で波紋を広げている警察を批判している=キム・ヨンヒ記者//ハンギョレ新聞社

 韓国の警察が料理用の包丁を持ち歩いていた外国人を制圧した過程が過剰鎮圧だとして波紋が広がっている。移住労働者人権団体は国家人権委員会に対し、制圧に当たった警官の懲戒を要求する陳情を行った。

 光州(クァンジュ)・全羅南道の移住労働者人権ネットワーク(人権ネットワーク)は4日、光州東区(トング)の国家人権委員会光州事務所前で記者会見を行い、「料理用の包丁を持っていた外国人労働者が、わけも分からないまま警察の過度な鎮圧にあった。これは、すべての外国人は犯罪者予備軍だという差別的な認識が警察に存在するためだ」と主張した。同団体は記者会見後、鎮圧に当たった警察官の懲戒と職務教育を要求する陳情書を人権委に提出した。

 先月29日午後2時10分、光州光山区月谷洞(クァンサング・ウォルゴクトン)のある保育園の近くで「外国人男性が刃物を持って周辺をうろついている」という通報があり、警察が出動した。警察は、この外国人男性を制圧する過程が過剰鎮圧だとの批判を浴びた。

 人権ネットワークが公開した40秒の監視カメラ(CCTV)映像を見ると、右手で料理用の包丁を持ち、左手で電話しながら歩いているベトナム国籍の外国人労働者A氏(23)に警察官のB氏が近づき、警棒をA氏の右手に振り下ろしてナイフを落とした。その後、B氏はA氏を警棒で殴ったり足で蹴ったりし、A氏はしゃがみ込んだ。この時、警察官のC氏がA氏の背後からテーザー銃(電気ショック機)を撃ち、A氏は苦しみながら道に倒れ込んだ。続いてB氏はA氏の胸と背中を足で踏んで制圧した。

 A氏は軽犯罪処罰法上の不安造成の疑いで警察の調査を受けた後、滞在期間が満了しているとの理由で光州出入国外国人事務所に引き渡され、6日に出国を控えているという。A氏は警察に「交際中の女性やその他の人々と鴨肉を料理して食べるため、近くに住む知人に包丁を借りて家に持ち帰り、自分の家で使っていた料理用の包丁を知人に持っていくところだった」と供述したという。

 人権ネットワークは、警察がA氏の包丁を地面に落とす過程は合理的だと認めたものの、それ以降の行為については違法だと判断した。

 抵抗していないA氏にテーザー銃と警棒を使った行為は「警察の物理力行使の基準と方法に関する規則」に違反しているということだ。警察が電気ショック機や警棒を使うためには相手の暴力的攻撃がなければならないが、A氏には抵抗する意思がなかったと説明した。

 人権ネットワークは、警察はA氏にベトナム語で凶器を捨てるよう指示するなどのコミュニケーションも取らなかったと指摘した。

 人権ネットワークの法律支援を担うキム・チュンホ弁護士は「何の抵抗もしておらず、逃亡の意思もないA氏を警棒で殴り、テーザー銃で撃った行為は、過度な物理力行使だ。警察は被害者の尊厳と価値、身体の自由を深刻に侵害した」と主張した。

 これに対して光山警察は釈明資料を発表し、その中で「緊迫した状況にあって容疑者が刃物を落としたことが認知できず、テーザー銃を発射した」とし、「テーザー銃で撃たれても倒れていた容疑者が起きあがって警察官を攻撃するケースがあるため、確実な制圧が必要だった」と釈明した。

 警察はまた、「検挙場所のすぐ隣に保育園があり、多くの子どもが凶器を所持している容疑者を見ており、不安を感じていた」とし、「2次被害防止のために迅速に対応した。月谷洞の外国人密集地域は些細なケンカにも凶器が使用される事件があるため、凶器所持者に対しては初期に厳正な対応を取ることを基調としている」と述べた。

キム・ヨンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/honam/1049565.html韓国語原文入力:2022-07-04 14:54
訳D.K

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