本文に移動

「見知らぬ人に会いに海外へ」バックパック背負う韓国の50~60代

登録:2022-06-07 03:41 修正:2022-06-07 08:58
ソーシャル・ディスタンシング解除後、時間と経済力のある50~60代が海外へ 
「家族や友人の顔色をうかがわずに旅に出たい」
バックパックで海外へと旅立つ50~60代が戻ってきた(写真はイメージ)=ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 「両親や子どもたちを連れて旅行に行くと、まともに休めません。旅行先に着いても家族の面倒を見なければならないから。犠牲になる気持ちで奉仕しに行くみたい。『自分の旅』だと感じられないので、旅から帰って来た後も嬉しくなかった。中年になったんだから、これからはちゃんと心の余裕を持って自分だけの旅に出たいんです。コロナでこれまで息が詰まるようでしたから」(京畿道高陽市のイ・ジョンウンさん、62)

 見知らぬ人たちとバックパックを背負って海外旅行に行く50~60代が戻ってきた。数年前から現れていた「シニアバックパッカー」が、社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)解除と共に再び姿を現している。

 6日、「50~60代バックパック旅行族」が多く集まるネイバーバンド(ネイバーが運営するインターネット・コミュニティーのプラットフォーム)などのSNSを確認すると、今夏海外旅行に行く人を募集したり、共同で旅行計画を立てたりしている書き込みが目立った。彼らは、旅行会社が有名な観光地中心に組んだ日程通りに動くパッケージ旅行などではなく、自ら飛行機チケットを予約し宿を当たる「自由な旅」を追求する。特に趣味や時間の合う見知らぬ人と旅する集まりを探す人が多いという。

 大田(テジョン)で個人事業を営むパク・ジェボムさん(66)も最近、飛行機チケットの予約、宿泊先の検索など「旅の学習」に熱中している。ネイバーバンド「花の中年のバックパック旅行」(会員数およそ4670人)で出会った人々とベトナムに行くことになったからだ。パクさんは「家族や友人たちと行くのは、日程を合わせるのが並大抵のことではない。趣味はウォーキングだが、趣味や時間が合う人同士で気軽に旅立てるので、バンドに加入した」、「今まで海外に行く時はパッケージ旅行ばかりだったが、今は飽きたし、『自分の行きたいところ』、『やりたいこと』を自分で探した方がはるかに面白いと感じる」と話した。そして「率直に言ってインターネットで予約したり調べたりするのは頭が痛くて複雑なところもあるが、ぜんぶ自分でするから面白い」と笑った。

 南米やオーストラリアの旅は、誰かが旅行計画を上げれば10分で定員がいっぱいになるという。Kさん(59)は「一人で旅に出るのは怖いし、家族や友人と一緒に行くのは、互いに知りすぎている仲なので、むしろ合わせることの方が大変だ。今まで苦労して生きてきたが、『何のために生きるのか』という思いがした。高くてもとにかく飛行機のチケットを買った」と語った。

バックパックで海外へと旅立つ50~60代が戻ってきた(写真はイメージ)=ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 バンド運営者のク・イクポンさん(56)は本紙の電話取材に対し「会員の半数は定年・名誉退職者だ。周りの人たちはよく知りすぎているほどの知り合いなので、見知らぬ環境と見知らぬ人を通じて退職後の空虚さを克服し、新しい世界を体験しようとしている方々が多い」と語った。

 旅行会社も「自由」を追求する中年層のバックパック旅行の需要に合わせて、様々な旅行商品を発売する傾向にある。モドゥツアーでマネージャーを務めるイ・ユヌさんは「最近は10人前後の小規模な団体旅行ガイド商品を問い合わせてくる中年の顧客が増えた。同好会のような集いから『自分たちだけで旅に出ようと思っているのだが、ガイド商品はないか』という問い合わせの電話がたくさん来ている」とし、「旅行客の選択の幅を広げた商品を増やしている」と話した。特定のテーマが設定された旅行コースでは、一人で旅立つ中年層も多いという。ハナツアーでチーム長を務めるチョ・イルサンさんは「トレッキングや自転車のコースがあるテーマ旅行商品は、一人で来る中年旅行客が多い」と語った。

パク・チヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1045884.html韓国語原文入力:2022-06-06 17:13
訳D.K

関連記事