ウイルス性疾患である「サル痘(monkeypox)」が世界18カ国に拡散していることから、新たな感染症に対する懸念が高まっている。防疫当局は24日、韓国への流入を防ぐため、入国監視システムを強化することを決めた。防疫当局は「サル痘は新型コロナウイルスと違って感染力は高くない。警戒は必要だが、過度な不安は不要だ」とし、「サル痘予防効果のある天然痘ワクチンを備蓄しているが、まだ使用は検討していない」と説明した。以下ではサル痘について、中央防疫対策本部のブリーフィングや資料などをもとに整理した。
-サル痘ってどんな病気?
世界的に消え去ったと思われている天然痘(韓国では「痘瘡」)と似ているが、感染力と重症度は低いウイルス性疾患だ。げっ歯類(リスなど)が伝播に重要な役割を果たすと推定される。人から人への感染は多くはないが、病変や体液、呼吸器からの飛沫(唾液)や、寝具などの汚染された物との接触を通じて感染する可能性がある。世界保健機関(WHO)によると、2~4週間症状が続くが、ほとんどは自然回復し、最近の致命率は3~6%であることが知られる。
-世界の拡散状況は?
サル痘はもともとナイジェリア、カメルーン、中央アフリカなどのアフリカ大陸中部と西部の一部の国の風土病だ。最近は欧州、米国、イスラエル、オーストラリアなどの風土病ではない18の国で感染および疑い例が多数報告されている。24日現在、全世界で171人の感染者と86人の疑い患者が報告されている。死者はまだ出ていない。
-サル痘の主な症状は?
最初は発熱、頭痛、筋肉痛、腰痛、筋無力症などがみられ、1~3日後に顔を中心として発疹が現れる。発疹は遠心性で、体の他の部位へと拡散する。発疹は水疱(水ぶくれ)、膿疱(膿がたまっている状態)などへと進行し、症状は約2~4週間続く。通常、感染から5~21日(平均6~13日)以内に症状が現れることが知られている。
-コロナのように新たなパンデミックをもたらす?
コロナとは異なり、感染力は強くない。十分な警戒は必要だが、不安になりすぎる必要はない。現在までのところ韓国での発生例はないが、国内への流入に備えて海外の発生状況を詳細にモニタリングしている。疾病管理庁は2016年にサル痘の検査システムをすでに構築している。国内での発生に備えて、全国の市・道の保健環境研究院での検査拡大も検討している。検疫などについては、PHEIC(国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態)が宣言されるなどの国際社会での動きがあれば、検疫手続きや海外との出入りの問題を別途考慮しうるはずだ。
-ワクチンはある?
現在、韓国には3502万人分の天然痘ワクチンが備蓄されている。天然痘とサル痘は同じ科に属しているため、天然痘ワクチンはサル痘にも85%の効果を示すことが知られている。天然痘は人類が最初に克服したウイルス性疾患であり、現在発生している国はない。しかし、まだ世界のどこかに残っている可能性のある天然痘ウイルス、そして特に実験室での事故に備えて天然痘ワクチンが確保されている。非常に危険な状況でなければ天然痘ワクチンは使われない。外国でも天然痘ワクチンは目的が非常に限定された使用が検討されているだけであり、疾病庁も現在の状況では使用は検討していない。
-1979年までは天然痘ワクチンの接種(種痘)が行われていた。その予防効果は?
1979年以降は韓国でも海外でも種痘は行われていない。1979年以前に種痘を行った人々は天然痘に対する免疫力をある程度持っている可能性があるが、これについての評価は正確ではない。人の体には免疫を記憶する免疫細胞があるが、現在どのように発現するかは分からないため、理論的にはありうるものの正確な評価は難しいと言える。
-サル痘に感染した場合の隔離指針はある?
世界的にサル痘の隔離期間は明確には決まっていない。疫学調査によって事例を確認し、その後は疫学調査官の判断に従わなければならないだろう。ただし、皮膚から水泡や傷痕が消えて回復するまで隔離する必要がある、というのが世界の医学界の共通意見だ。
-サル痘の発生地域を訪問する際の注意点は?
訪問前に、そこがサル痘が風土病となっている地域なのか、発生地域かを確認する必要がある。アフリカなどの発生地域ではげっ歯類、霊長類や動物の死体に接触したり、野生動物の肉を食べたりすることは控えるべき。サル痘が疑われる患者との接触も禁止しなければならない。
-発生地域の訪問後に症状がみられた時は?
入国時の検疫で、検疫官に健康状態質問書を提出しなければならない。入国時に発疹、発熱などの症状があれば、検疫官に必ず申告すること。また帰国から21日以内に発熱や悪寒、水疱性の発疹などの、感染の疑われる症状が見られる場合は、疾病管理庁コールセンター1339に相談すること。