10日午前、青瓦台(旧大統領府)が74年目にして初めて一般市民に公開された。本紙は一般公開された青瓦台を初日に見学するために事前に観覧申込みをした。3.5対1の競争率を勝ち抜いて入場券2枚を得て、市民とともに青瓦台の内部を見て回った。青瓦台には歴代大統領の痕跡が随所に残っていた。市民たちはこれまでマスコミを通じて断片的に接してきた青瓦台の内部を隅々まで見て回った。
同日午前11時頃から、青瓦台の正門前は公開行事を見守る市民で賑わっていた。正門開放に先立って行われたイベントは、打楽器公演団と農楽隊が飾った。登山服を着た高齢者をはじめ、全国から集まった市民たちは、青瓦台を背景にカメラのシャッターを押した。
午前11時38分、「青瓦台正門開放」という掛け声と共に、外国人をはじめ様々な年齢層の国民代表74人が、青瓦台の正門内に第一歩を踏み出した。彼らは子ども合唱団の歌う「風が吹いてくる場所」を背景に、梅の花を持って正門から青瓦台の中に入った。その後ろに事前申込みを通じて当選した市民たちが続いた。これまで青瓦台正門は、公式行事がある時だけ国内外の国賓などが出入りすることができた。
母親と一緒に青瓦台を訪れたファン・ジュファさん(7)は、「近くを通るときに青瓦台を見るだけだったけれど、入って直接見られてうれしい」と話した。紫色のペアTシャツを着て彼女と一緒にここを訪れた大学生のクム・ドンリョルさん(25)は、「2018年から2年間義務警察として勤務し、青瓦台の前で様々な集会を見守ったが、このように実際に中に入って観覧すると、公園のような感じもするし、社会科見学に来たような気もする。今後、青瓦台がソウルの新しいランドマークになりそうだ」と語った。しかし、大統領執務室の龍山移転に対する意見は分かれた。全羅北道全州(チョンジュ)から来たというキム・ボンイムさん(60)は、「神秘的に思われていた青瓦台に一般市民が訪問できるようになってわくわくする」と言いつつも、「経済も厳しい状況で、あえて執務室をなぜ移したのか理解できない。妥当な理由を説明してくれたらよかったのにと思う。今後は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が敵味方を分けず国民を説得する姿を見せてほしい」と話した。
文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が企業家懇談会、党代表会談などを開いた常春斎(サンチュンジェ)が大きな関心を集めた。キム・ギョンホさん(71)、ハム・ギョンランさん(69)夫妻は「常春斎はマスコミにも多く出ていたので、実際どんなところなのかいつも気になっていた。かつて朴槿恵(パク・クネ)元大統領が弾劾直前にマスコミと対談したことも思い出される」と語った。常春斎の向こうには、故金大中(キム・デジュン)元大統領の在任当時、プールとして使われたというガラスの温室が、前庭の緑地園にはジョギング愛好家だった故金泳三(キム・ヨンサム)元大統領が運動と散歩のために作った243メートルほどの「大統領専用トラック」が見えた。わずか一日前まで文前大統領夫妻が滞在していた官邸も、市民の関心を集めた。市民たちは窓を通じて官邸の中を覗き見ながら「あのソファー、高いのものなの」などと尋ね合ったりもした。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領がよく訪れた春秋館は、市民には大統領の動静を報じるテレビ報道の画面を通じて見慣れた場所だ。「盧武鉉大統領は、その日の新聞を読んで腹が立つと参謀たちが阻止するのも構わず、いつも春秋館に直接来て記者たちに説明しました。大統領と隔てなく討論できたあの頃が一番面白かった」。盧武鉉大統領時代に青瓦台を出入りしたシン・スングン本紙記者は、大統領がブリーフィングのために出入りした春秋館の裏側のドアを指しながら、過去を思い出していた。10年前のことなのに、取材競争が熾烈だった分ストレスも多かった当時の記憶がありありと浮かぶと話した。
青瓦台は開放初日に2万6000人が観覧したのに続き、22日までに一日3万9000人が訪れる予定だ。ソウル鍾路警察署は、秩序維持および交通管理のために21日まで青瓦台サランチェ前広場に臨時派出所を運営する。