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韓国で「コロナ後遺症」クリニック急増…国の存在見えず

登録:2022-05-06 03:36 修正:2022-05-06 09:13
40以上開院…「金儲けクリニック」懸念 
米国、コロナ後遺症研究に1500億円 
韓国の研究予算はたった1億6100万円 
「国レベルで後遺症対応を急ぐべき」
コロナ後遺症クリニック/聯合ニュース

 昨年7月に新型コロナウイルスに感染し、ECMO(エクモ、体外式膜型人工肺)を使わなければならないほど重症の肺炎と敗血症を患ったソン・ユンジェさん(39)は、今も胸痛と記憶力減退に苦しんでいる。知人たちは「コロナ後遺症クリニック」に行ってみるように勧めるが、信頼できず悩んでいる。ソンさんは「多くの人がわらにもすがる思いで行っている」としつつも「コロナの治療法も定まったものがないのに、後遺症の治療法がまともなのか疑問だ」と述べた。

 後遺症のせいでクリニックに行くかどうかを悩んでいるのは、ソンさんだけではない。コロナ後遺症患者のオンライン・コミュニティでも「どのクリニックが良いか」、「どの医者の治療が良いか」など、コロナ後遺症クリニックについて悩む書き込み数多く見つかる。

 民間病院を中心として、コロナ後遺症クリニックが雨後の筍のように生まれている中、体系的で信頼性のある後遺症対策を政府レベルで取るべきだとの声が高まっている。5日現在の各病院の報道資料やメディア報道などを総合すると、コロナ後遺症クリニックは民間病院を中心として全国で40院以上が開院している。上級総合病院から韓方病院、韓方医院、内科や整形外科の医院などに至るまで、コロナ後遺症クリニックの形態は様々だ。

 クリニックが増えている中、体系的な医療対応を行う病院もあるが、一部からは病院の金儲けの手段に変質する恐れがあるとの懸念の声も聞かれる。高麗大学九老病院のキム・ウジュ教授(感染内科)は、「病院が一種の『金儲け』クリニックを作っている。『金になるからやる』という観点では、まともな後遺症治療はできない」と指摘した。

 国レベルで予算を投じてコロナ後遺症の研究や治療に取り組むべきだと主張されているのもこのためだ。米国立衛生研究所(NIH)は、昨年から4年間にわたってコロナ後遺症研究に11億5000万ドル(約1500億円)を投入すると発表している。英国の国民保健サービス(NHS)は約90の病院を後遺症クリニックに指定しており、15の「小児科ハブ」を設立して小児・青少年のコロナ後遺症治療も支援することを決めている。

 一方、韓国の予算投資は非常に不足している。共に民主党のキム・ウォニ議員室が疾病管理庁から提出を受けた資料によると、先月までに執行されたり執行予定となっているコロナ後遺症研究予算は15億7000万ウォン(7課題、約1億6100万円)に過ぎない。政府は3月末になってようやく大規模調査を実施すると発表している。政権引き継ぎ委員会も、4日に公開した「コロナ非常対応100日ロードマップ実践課題別履行計画」で、今年下半期までに大規模な研究作業に着手するほか、8月に後遺症患者の診療・相談を受け持つ医療機関を指定すると発表している。しかし予算確保計画はまだ発表されていない。

 延世大学セブランス病院のイ・ヒョンミン教授(診断検査医学科)は「コロナで入院した人のうち、半年後に感染以前の水準にまで健康が回復した人は25%しかいないという最近の研究もある。米国がロングコビッド(コロナ後遺症)研究に1兆ウォン以上の予算を使うのもこのような理由から。調査規模や予算配分において外国と韓国の差はあまりにも大きい」と指摘した。キム教授も「地域、性別、年齢、病症別に5万人以上の対象者を研究すべき。ロングコビッドの診断・治療指針を作らなければならない」と説明した。

パク・チュニョン、チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1041722.html?_fr=mt1韓国語原文入力:2022-05-05 17:30
訳D.K

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