脱原発政策の廃棄が韓国の次期政権の主要国政課題として最終的に確定した。新規原発建設を中止し、老朽化した原発の寿命延長を禁止した文在寅(ムン・ジェイン)政権とは反対に、新ハンウル原発3・4号機建設の再開や、老朽化した原発の寿命延長などを通じて原発発電比重を高めることが、新政権の主要政策として推進される。
脱原発政策の廃棄は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領が大統領選挙の過程で強調してきた内容だ。ただし、政権引き継ぎ委員会が3日発表した次期政権の110の国政課題のうち、コロナ禍からの回復と感染症対応に次ぐ3番目の課題として脱原発政策の廃棄を選んだことは注目に値する。特に引き継ぎ委は、同課題をエネルギー・産業と関連した経済分野ではなく、「常識を取り戻した正しい国」を目標に掲げた政治・行政分野の国政課題に分類した。脱原発政策を廃棄することが単なるエネルギー政策の転換以上の意味を持つとみられているのもそのためだ。
引き継ぎ委は「エネルギー安全保障及び炭素中立(カーボンニュートラル)の手段として原発を積極的に活用する」という目標のもと、新ハンウル原発3・4号機建設の早期再開▽安全性を前提とした運営許可満了の原発の継続運転▽2030年までに原発の比重向上などを提示した。このように原発の活用を増やし、2030年の国別温室効果ガス削減目標(NDC)達成に貢献するとともに、原発を新成長の動力にすることを目指す。これらの政策は大統領選挙の過程で公約として提示され、脱原発・環境団体が反発した内容であり、今後本格的な推進過程で議論を呼ぶ可能性が高い。
原子力安全研究所のハン・ビョンソプ所長は「新政権の新規原発の建設や老朽化した原発の寿命延長などが問題にならないようにするためには、高い安全性が担保された後にこのような政策が推進されなければならないが、これまでの慣行からして、容易ではないだろう。国民の信頼を得られない状態で原発拡大に没頭すれば、原子力に対する否定的な認識を強めることになるだろう」と述べた。
引き継ぎ委は独自の小型モジュール炉(SMR)など未来の原発技術確保のための研究開発に集中し、2030年までに原発10基の輸出を目標に積極的な受注活動を展開することも国政課題の詳細に盛り込んだ。このため、政府省庁と原発業界、金融機関などが参加する原発輸出戦略推進団を新政権発足直後に新設して稼動することにした。
世界的に最大の課題とされる気候危機対策は独立した国政課題ではなく、経済と未来分野の国政課題として盛り込まれた。引き継ぎ委は「科学的なカーボンニュートラル履行案をまとめることでグリーン経済に転換」という国政課題で、「2030年のNDCは順守する一方、部門別に現実的な削減手段を設け、法定国家計画に反映する」とし、来年3月を国家計画反映の目標時点として提示した。2018年に比べて炭素排出量を40%削減する目標を維持しながらも、部門別目標を調整するだけで今後1年近い時間を費やさなければならないわけだ。