韓国で新型コロナウイルスのオミクロン株の拡散により、死者数が1カ月の間に5倍以上に増えていることで、棺すらも品薄となっている。死者が増えて需要は増えているが、棺の材料となる中国産の桐の供給は減っているからだ。
3月以降、棺製造企業の間では棺の供給難が深刻だとの声があがっている。京畿道光明(クァンミョン)にある棺製作会社「江原企業社」のイ・ベヨン社長は27日、「注文量が急増しているため、固定取引先以外には(注文が入っても)棺を渡せていない」と述べた。首都圏の別の棺製造会社も、「普段は1カ月に棺が2000基出ていたが、最近は3000~3500基ほど出ている。普段は2~3カ月分の在庫があったとすれば、今は2週間分しか残っていない。木材を確保するのが難しいため、一部は棺用の材ではなく家具用の材をもらって棺を作っている」と話した。
今月に入ってコロナによる死者は急激に増えている。1月の死者数は1169人、2月は1303人だったが、今月はすでに6841人(27日現在)と、先月の5倍以上。隔離解除後に死亡した人は死者集計に含まれないケースもあるため、コロナによる実際の死者数はさらに多いとみられる。感染確認から重症化や死に至るまでには2~3週間ほどかかるため、当面は死者の増加が続く可能性が高い。
棺を作るのに使われる中国産の桐の輸入は大幅に減っており、供給難をあおっている。社団法人葬儀指導士協会のイ・サンジェ会長は「棺の材料の95%以上は桐だが、中国産が大半」と説明した。山林庁の輸入統計によると、最近3カ月間に輸入された桐は100%が中国産だ。中国産の桐の輸入量は昨年12月が75万820キロ、今年1月が60万9635キロ、2月が37万9310キロと、2カ月間で半分に減少している。木材業界は、中国の春節の連休、北京冬季五輪期間中の工場の稼動制限、コロナ拡散を食い止めるための中国政府の都市封鎖措置などが影響を及ぼしたとみている。イ・ベヨン社長は「本来は物(木材)を受け取ってから代金を支払うが、(桐の確保が難しいため)製材所に前金を払い、物があればその都度、臨機応変に持ってきて使っている」と話した。
在庫のある大手業者とは異なり、小規模業者は苦肉の策として合板製の棺を供給してもいる。京畿道水原市(スウォンシ)が運営する火葬場は、接着剤が使用されているため大気汚染物質が排出される合板棺はもともと禁止していたが、最近は桐の棺の不足で合板の棺も火葬できるようにしている。環境にやさしい葬儀用品として紙の棺が注目されてきてはいるが、葬儀のかたちにこだわる遺族の認識に阻まれて普及していない。イ・サンジェ会長は「以前、慶尚道地域では柳の棺を使っていた。ベトナム、マレーシア、インドネシアなどからの柳の輸入も代案となるだろう。早く対策を立てなければ、霊安室や火葬場が足りなくなっているように木棺も不足する恐れがある」と述べた。