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「慰安婦」被害者、控訴審で「主権免除を適用した一審は誤り」

登録:2022-03-25 02:40 修正:2022-03-25 08:55
一審、主権免除を理由に却下判決 
被害者側「国家中心の立場踏襲」
日本軍「慰安婦」被害者が日本政府を相手取って起こした2つ目の損害賠償請求訴訟の一審で、原告が敗訴した昨年4月21日午前、ソウル瑞草区のソウル中央地裁で、女性人権運動家イ・ヨンスさんが裁判所の前で取材に応じている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 日本政府を相手取って損害賠償請求訴訟を起こしたものの、一審で敗訴した日本軍「慰安婦」被害者が、抗訴審で「『慰安婦』被害者は日本の軍事的目的によって強制動員された。個別的被害救済を拒否する理由はない」と主張した。日本の責任を立証するために、日本の弁護士などを証人として申請するとの計画も明らかにした。

 ソウル高裁民事33部(ク・フェグン裁判長)は24日、イ・ヨンスさんら「慰安婦」被害者と被害者遺族ら15人が日本を相手取って起こした損害賠償請求訴訟の控訴審の初の口頭弁論を開いた。訴訟を起こした被害者側は、原告敗訴の判決を下した一審の問題を指摘し、関連する最高裁(大法院)の判例や国際的な判例の動向などをあげ、「慰安婦」被害者の個別的損害賠償請求は認められるべきだと主張した。

 被害者の代理人を務めるイ・サンヒ弁護士(法務法人志向)は「最高裁全員合議体は、強制動員被害者損害賠償事件で日本の侵略戦争遂行に起因する強制動員であることを認め、個別被害者の損害賠償請求を認めた。『慰安婦』被害者も日本の侵略戦争遂行の過程で戦闘力を高めるためという軍事的目的で強制動員された」とし「これは戦争遂行と関連する反民主的不法行為であり、被害者の個別的被害救済を拒否する理由はない」と述べた。最高裁全員合議体は、強制動員被害者と遺族が新日鉄住金を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で2018年に原告勝訴の判決を確定しているが、「慰安婦」被害者も戦争過程で強制動員されたことから、個々人の損害賠償請求は認められうるとの趣旨だ。

 被害者側は、一審が却下の根拠としてあげた「国家免除(主権免除)」についても、この事件では適用できないとした。主権免除とは、「主権国家は他国の裁判所では裁かれない」という国際慣習法だ。一審を担当したソウル中央地裁民事15部(ミン・ソンチョル裁判長(当時))は、主権免除を根拠として「日本政府を相手取って損害賠償を請求することは認められない」として却下判決を下している。2015年に朴槿恵政権が推進した韓日慰安婦合意は、日本政府次元の権利救済だとみなしうるとも述べている。

 これについて原告代理人団は「主権免除の法理を綿密に検討せずに、国家中心の近代国際法の立場のみを忠実に踏襲しているため、韓国の裁判所の裁判管轄権を認めなかった」と反論した。同事件の一審は主権免除を根拠に原告敗訴の判決を下したが、ソウル中央地裁民事34部(キム・ジョンゴン裁判長(当時))は昨年1月、故ペ・チュンヒさんら12人が日本政府を相手取って起こした別の訴訟で主権免除を排斥し、原告勝訴の判決を下している。この判決は「国際共同体の普遍的価値を破壊する反人権的行為すらも裁判権が免除されると解釈するのは不合理」とし、主権免除を認めなかった。ブラジル連邦最高裁判所も昨年8月、第2次世界大戦でドイツの潜水艦の攻撃を受けた被害者がドイツを相手取って起こした訴訟で、主権免除を排斥している。

 ソウル高裁がこの日、「広範囲にわたり意見を聴取したい」と表明したことを受け、被害者代理人団は、様々な専門家を証人として申請する計画だと述べた。日本で長年、「慰安婦」被害者の代理人を務め、主権免除を研究してきた日本の弁護士などが証人として出廷するとみられる。

 一方、「慰安婦」被害者の損害賠償請求を認めていない日本は、主権免除を盾に代理人の選任も行わないなど、訴訟に対応していない。

シン・ミンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1036148.html韓国語原文入力:2022-03-24 17:04
訳D.K

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