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参戦するためウクライナ入国した韓国の元特殊部隊将校、私戦罪の初の処罰対象になるか

登録:2022-03-09 06:45 修正:2022-03-09 08:07
ウクライナの国際義勇軍への参加意思を表明 
韓国の刑法では外国に対する私的な戦闘が処罰対象に
イ・グン元大尉のユーチューブチャンネルより//ハンギョレ新聞社

 旅行禁止対象国となっているウクライナに韓国政府の許可なしに無断入国したイ・グン元大尉を、韓国外交部が旅券法違反の疑いで告発することにした。これとは別に、イ元大尉は刑法でも処罰される。私戦罪の条項のためだ。

 ユーチューブ番組の「カッチャサナイ~愛すべきクズたちの挑戦」で有名になった海軍特殊戦団(UDT/SEAL)大尉出身のイさんは、国際義勇軍参加のためウクライナに入国したとソーシャルメディアを通じて明らかにした。韓国政府はイさんのウクライナ入国を確認したことを明らかにした。

 韓国の刑法第111条は、「外国に対して私戦を行った者は、一年以上の有期禁錮に処する」と規定している。1953年9月、刑法が初めて制定された当時から存在していた。今も耳慣れない罪名だが、朝鮮戦争が終わったばかりの当時も同様だった。

 当時の立法過程を振り返ると、興味深い部分がある。1953年6月29日午前、刑法案2回目の読会(法案討論)で、オム・サンソプ国会法制司法委員長代理が私戦罪条項を読み上げた。国会の速記録によると、国会議員の誰かが「私戦とは何ですか?」と尋ねた。これに対して、オム委員長代理が次のように説明した。「私的な戦争…国家的に大韓民国の命令を受けて行うのではなく、自分の遺志で外国と戦端を開き、問題を起こすことです。そのような行為で、わが国の義勇軍だからといって、外国の戦争に参加して、外交上の問題を引き起こすこともあります。それを私戦といいます」。説明後、ようやく「異議なし」の声があがり、ユン・チヨン国会副議長が「それならそのまま通過です」と宣言した。

 刑法の解説書などによると、私戦罪は「大韓民国は国際平和維持に努め、侵略戦争を否定する」という憲法条文に基づき、「国民の一部が、勝手に外国に対して私的な戦闘行為をすることになれば、憲法に反するだけでなく、外交関係および平和な国際関係を悪化させ、大韓民国の存立まで危うくする可能性があるため処罰する」(『注釈刑法』キム・デフィ、キム・シン)という意義を持つ。

 すなわち、私戦罪は国会の宣戦布告同意(憲法第60条2項)および大統領の宣戦布告(憲法第73条)なしに個人や私的組織が外国(国家権力でない特定の地域・階層などを相手にした戦闘は除く)を相手に戦闘行為をすることを処罰する。

 刑法の私戦罪は未遂も処罰の対象とする。また、兵器や弾薬、資金などを準備する予備行為に対しても、3年以下の禁固または500万ウォン(約47万円)以下の罰金に処することができる。

 私戦罪の制定後、実際の適用事例は見当たらない。そのためか、1985年、大韓弁護士協会は事実上、無意味な私戦罪を廃止すべきだという意見を出した。韓国政府が私戦罪の適用を具体的に検討したのは、2015年にトルコで行方不明になったK君(当時18歳)がイスラム国(IS)に加担して訓練を受けていることが把握された時だった。その後、行方不明の状態が続き、実際の処罰は行われなかった。

キム・ナムイル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1034040.html韓国語原文入力:2022-03-08 18:02
訳H.J

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