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韓国で27歳のバレー選手と放送ストリーマーが相次いで死去…悪質コメントに苦しむ

登録:2022-02-07 09:41 修正:2022-02-07 11:38
長い間悪質コメントに悩まされた 
ネット放送ストリーマー、バレーボール選手が死亡 
名誉毀損・侮辱などネットいじめが数年間で急増
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 今月4日、プロバレーボール選手のキム・インヒョクさん(27)が自宅で遺体で発見された後、5日にはインターネット放送ストリーマーの「ジェムミニム(本名:チョ・ジャンミ)」(27)が死去したというニュースが報じられ、特定人物に対する「サイバーブリング(ネットいじめ)」問題の解決が切実だという声が高まっている。正確な死亡原因は明らかになっていないが、2人とも生前に悪質コメントや根拠のない非難などで長い間苦痛を訴えていたためだ。

 今月5日、リアルタイムのストリーミング・プラットフォーム「ツイッチ(Twitch)」のコミュニティで、チョさんの叔父と名乗る書き込みの作成者は「ジャンミはこれまで多くの悪質コメントやデマで深刻なうつ病に悩まされてきました」とし、「遺書も残しており、それを通じてこれまでジャンミがどれほどつらかったか、どれほどいじめを受けていたかを知ることができた」と明らかにした。キムさんの死亡経緯を調査した警察は本紙の取材に対し「死亡現場で発見されたメモに悪質コメントと関連した内容はない」としているが、キムさんも昨年8月、自身のインスタグラムに「私を近くで見たわけでもなく、私のことを何も知らないのに、私を苦しめる悪質コメントはもうやめてください。耐えがたい」という心情を吐露したことがある。

 2人は主に、男超コミュニティ(男性ユーザーが圧倒的に多く、そのような性別傾向の影響が反映されたサイト)のネットユーザーから狙われて攻撃を受けてきた。チョさんは2019年に「男性嫌悪ジェスチャー」をしたという理由でユーチューバーらに「狙撃」されて以来、悪質コメントに悩まされてきた。リアルタイム放送のチャット欄には非難と攻撃が続いたという。チョさんの死亡ニュースが伝わった後も、オンライン上にはチョさんを嘲弄するコメントがたびたび上がっている。一方、キムさんは「化粧をしているようだ」という理由で、性差別的・性的マイノリティに対する差別的なインスタグラムのダイレクトメッセージ(DM)やコメントに悩まされてきたという。

 ネットいじめのケースはここ数年で急速に増えている。警察庁が6日に発表した統計によると、昨年のサイバー上での名誉毀損や侮辱事件(立件)は、2014年の8880件から2020年には1万9388件へと118.3%急増し、検挙件数も6241件から1万2638件へと102.5%増えた。特にネットいじめは女性や年の若い弱者に集中するケースが多い。ソウル大学のキム・スア教授(言論情報学)は「オンライン虐待の場合、女性や少数者など脆弱な対象に行われるが、有名人もその一つになる」とし「特にチョさんの事例は女性嫌悪的オンライン文化が影響を及ぼした」と分析した。淑明女子大学のホン・ソンス教授(法学部)も「サイバー名誉毀損・侮辱事件が、社会的権力が弱い弱者に集中する傾向がある」と指摘した。

 政府や情報通信サービス提供者などがサイバー上での名誉毀損や侮辱表現の規制、ネットいじめ問題に積極的に乗り出すべきだという声もあがっている。ダウムやネイバーなどのポータルサイトは、こうした問題が相次いだため芸能ニュースのコメント欄を閉鎖するなど最小限の措置を取ったが、リアルタイム放送やユーチューブなどのプラットフォームはヘイト・ネットいじめのコメントを事実上放置している。

 延世大学法学研究院のイ・スンヒョン専門研究員は、「現在、情報通信サービス提供者は問題となる表現を規制する法的責任を懸念し、積極的に乗り出せずにいる。規制に積極的に乗り出せるよう法令を整備する必要がある」と述べた。キム・スア教授は「プラットフォーム企業が個人に対する攻撃を深刻に受け止め、特定の個人が名誉毀損と暴言などの申告をする際にもっと多くのモニタリングをして、当該アカウントに対する攻撃を感知できるシステムが必要だ」と述べた。

コ・ビョンチャン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1029922.html韓国語原文入力:2022-02-07 02:03
訳C.M

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