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「韓中日、オゾンで穀物収穫量が減少し年間75兆ウォンの被害」

登録:2022-01-19 01:19 修正:2022-01-19 17:57
オゾンによる生産量の相対的な損失を推計 
中国産小麦33%、米23%、トウモロコシ9%減少 
韓国もそれぞれ28%、11%、5%減
オゾン濃度の上昇により韓中日の東アジア3国で年間75兆ウォンの穀物収穫量の減少が発生すると推計された=ピクサーベイ//ハンギョレ新聞社

 韓国、中国、日本の東アジア3カ国におけるオゾン汚染による小麦、米、トウモロコシなどの穀物の年間生産量の減少は、75兆ウォン(630億ドル)に達するとの推計が発表された。

 中国の南京大学などの共同研究チームは18日(韓国時間)、「米国や欧州とは異なり、オゾン濃度の上昇が著しい東アジア地域では、オゾンによる主要作物の相対的な生産量の減少が以前の予測よりはるかに大きいことが分かった。これは食糧安保の脅威として作用する可能性がある」と発表した。研究チームの論文は17日(現地時間)発行の科学ジャーナル「ネイチャー・フード」に掲載された。

 オゾンは化石燃料の燃焼時に排出される亜酸化窒素、一酸化炭素、揮発性有機化合物のような温室効果ガスが日光と相互作用して形成される。オゾンは成層圏では紫外線から地球を守るが、地表の近くでは人間などの動物だけでなく植物にも害を及ぼす。研究チームは「特に車両から発生する窒素酸化物による汚染で、世界の多くの地域で地表のオゾン濃度が上昇している。作物の収穫量は農法と品種の改良により増加したが、オゾンがなければはるかに多かったはず」だと述べた。

AOT40とは、時間当たりのオゾン濃度が40ppbを超える場合のオゾン濃度の和//ハンギョレ新聞社

 北半球の地表のオゾン濃度は産業化以前に比べて3~5倍に増加している。この20年の米国と欧州のオゾン濃度は上昇が減速したり低下したりしている一方で、アジアのオゾン濃度は他のどの地域よりも上昇している。

 オゾンは穀物の収穫量に悪影響を及ぼす。オゾン濃度が31~55ppbになると年間収穫量は小麦が7.1%、米が4.4%、トウモロコシが6.1%減少する。アジアは世界の穀物生産で重要な部分を占める。2014~2018年にはコメの90%、トウモロコシの32%、小麦の44%がこの地域で生産されている。中国の耕作地の7%のみで、世界人口の5分の1を食べさせることができる。

 研究チームは、東アジア3カ国の3072カ所のオゾン観測所で測定された濃度の分析を行った。これらの98.7%は、6カ月の昼の累積オゾン濃度(AOT40)が植物の健康の保護のための臨界値(時間当たり5ppm)を超えていた。AOT40とは、時間当たりのオゾン濃度が40ppbを超えた場合のオゾン濃度の和。国ごとに見ると、中国が最も高く30.9ppm/hで、韓国は21.2ppm/h、日本は17.5ppm/hだった。これに対し米国は15.7ppm/h、欧州は11.1ppm/hと相対的に濃度が低かった。

 研究チームは小麦、米、トウモロコシの主要生産地域から収集した実験資料をもとに、3つの主要作物とオゾンばく露との相関関係を分析した。中国での収穫量の減少が最も大きく、小麦が32.8%、コメが23%、トウモロコシが8.6%の減。韓国も小麦に27.8%、コメに10.7%、トウモロコシに4.7%の減少があると分析された。

 収穫量の損失は質量ベースで小麦が6200万トン、コメが6300万トン、トウモロコシが2300万トン。価格ベースだと小麦が220億ドル、コメが330億ドル、トウモロコシが78億ドル。

 研究チームは「穀物の収穫量の年間総減少量は630億ドル(約75兆ウォン)にのぼると計算された。地域レベルでのより強力なオゾン排出規制と適切な措置が必要だ」と語った。

イ・グニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1027794.html韓国語原文入力:2022-01-18 14:11
訳D.K

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