国民の力の大統領候補ユン・ソクヨル氏が11日の年頭記者会見で、賃貸人、賃借人、国が3分の1ずつ負担する「賃貸料分かち合い制」と共に、子どもが生まれた場合1200万ウォン(約116万5千円)を支援する公約を発表した。新型コロナ危機克服を強調し、小商工人や自営業者の支持を狙うと共に、少子化問題解決など国家的議題を提示したものとみられる。ユン候補は「炭素中立(カーボンニュートラル)エネルギー転換30年計画」を設けると述べたが、原発を維持したままのカーボンニュートラル政策に対する批判の声もあがった。
ユン候補は同日、コロナ禍で崖っぷちに立たされた自営業者のために、賃料を賃貸人、賃借人、国が3分の1ずつ分担する賃貸料分かち合い制を提案した。賃料の3分の1を削減する代わりに、このうち20%は税額控除で政府が賃貸人に返すという構想だ。ユン候補は「政府が財政負担をするのは満期以後に免除することなので、3年から5年以降に順次財政負担がかかる」とし、「全体的に約50兆ウォン(約4兆8400億円)を予想している」と説明した。最近の大統領選候補の世論調査で、ユン候補に対する支持率が明らかに下がっている自営業者と小商工人の支持を取り戻すための支援策と言える。
ユン候補は「子どもが生まれたら、1年間にわたり毎月100万ウォン(約9万7千円)の定額給与を受けられるようにする」と述べた。ユン候補が打ち出した初の少子化対策だ。また、児童と家族、人口など社会問題を総合的に扱う部処も新設するとした。今月7日に廃止すると明らかにした女性家族部に代わる構想とみられる内容だった。しかしユン候補は「女性家族部の廃止公約後に代案として新しい部処を新設するのか」という質問に「女性家族部が多くの国民が期待していた役割を果たせなかったと判断しているため(廃止公約を明らかにした)」とし、「女性家族部が設立された当時に国民が期待していた部分は様々な国家の行政需要に応えながらも抜かりなく進める。もう少し大きな観点から韓国社会の問題を幅広く見て対応する」と答えた。「児童と家族、人口問題を総合的に扱う部処」が女性家族部に代わるものなのかどうか、明確な答えを避けた。女性家族部の廃止後、これをどのように政府組職に吸収するのか、ユン候補の構想は依然としてはっきりしない状況だ。
ユン候補はまた「炭素中立エネルギー転換30年計画」を樹立するとし、「原発をより安全にして適正水準で管理」すると共に、「脱炭素技術開発のためのグローバル協力と競争に積極的に参加し、韓国を気候エネルギー技術分野の先導国家にする」と述べた。原発を主要エネルギー源として維持しながら、カーボンニュートラルへと進むという意味だ。これに対して正義党は「半減期だけで数万年に達する放射性核廃棄物処理案については沈黙したまま、『未来世代』のためというエネルギー転換30年計画を樹立するというのはつじつまが合わない」と批判した。正義党選対委のキム・ジス青年報道担当は「原発から排出される廃棄物は未来世代だけの問題ではなく現世代の問題」だとし、「今日すでに高レベル核廃棄物臨時貯蔵所が飽和状態に達しており、処分さえ困難な状況なのに、ユン・ソクヨル候補が考えている未来世代は一体どの時間帯に生きているのか」と反問した。