感染力が強い新型コロナのオミクロン変異株が広がれば、3月には1日の平均感染者数は2万人、重病患者は2000人を超えることがあり得るという分析が出てきた。専門家らは、オミクロン株はデルタ株より軽症になる可能性が高く、飲む治療薬の効果により、感染者対に対する入院率と重症化率は低くなると予想した。しかし、感染者の急増に備え、地域の病院などの地域医療機関が患者の診療を支援できるシステムを整えておかなければならないと口をそろえた。
7日午後、ソウル中区(チュング)の韓国プレスセンターで、保健福祉部の主催で開かれた「オミクロン株の発生の見通しおよび今後の課題シンポジウム」で、嘉泉大学医学部のチョン・ジェフン教授(予防医学教室)は、「1月末以降、急激な流行規模の増加が予想される」とし、「3月初頭から中旬に(新規感染者が)2万人に達することがあり得る。3月中旬以降は、重病患者が2000人以上に達する可能性がある」と述べた。感染者が急増し、重病患者も減らないだろうという予測だ。この分析は、韓国で3回目の接種が進み、17日から社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)を一部緩和するという状況を仮定した。
実際に韓国内のオミクロン株は拡散傾向を続けている。新型コロナ検査での陽性のうち、オミクロン株の検出率は先週は8.8%だった。その前週に比べ5.1ポイント増えた。チョン教授は、「2月中旬になれば、極めて有意な割合でオミクロン株が優勢種になるだろう」と説明した。
専門家らは、オミクロン株の重症化率はこれまでのデルタ株より低いと診断した。ソウル大学医学部のキム・ナムジュン教授(大韓感染学会理事長)は、「南アフリカ共和国の事例では、デルタ株の集中治療室への入院率と死亡率は、それぞれ4.3%、21.3%であり、オミクロン株はそれぞれ1%、4.5%と、明らかにオミクロン株の重症化の割合は低いとみられる」とし、「カナダ、米国、スコットランドの資料によると、一貫して入院率、集中治療室への入院率および死亡率は低い。ただし、韓国は療養院や療養型病院のような脆弱な構造の病室構造を有しており、懸念される点はある」と述べた。国立中央医療院公共保健医療本部のチュ・ヨンス本部長も、「オミクロン株の感染再生産指数は、デルタ変異の4.2倍で、入院率は5分の1から3分の1の水準だと推定される」と述べた。
専門家らは、来週から韓国に導入される新型コロナの飲み薬が効果を示せると予想した。チョン教授は、「(メルク社の飲み薬の)モルヌピラビルは、入院患者と重症・中等症患者を15%減らせるはずで、(ファイザーの飲み薬の)パクスロビドがうまく使われる場合は、入院・重症患者を半分以上減らせる」と見通した。
オミクロン株の患者の増加に備え、地域の医療機関で治療できる対応システムの用意と、これに沿った防疫対策の樹立も必要だという提言も続いた。京畿道医療院安城病院のイム・スングァン院長は、「医師が遠隔診療を行い、必要であれば対面診療を行い、必要であればその病院に入院させるという形で、平常時と同じような医療システムを作動させなければならない」とし、「患者の管理は、地方自治体の内部で責任を持って進められるように転換されなければならない」と述べた。サムスンソウル病院のソ・ジヨン教授(重病患者医学科)も、「自治体別に医療への対応のコーディネーションセンターがあればいい」と述べた。仁川医療院感染内科のキム・ジニョン課長は、「オミクロン株が(広がることに)なれば軽症が増えるが、そういう人たちが気楽に診療を受けられる空間がない」とし、「入院患者や重症患者だけを考えるのではなく、残りの人々を治療する空間が必要だ」と述べた。
チョン教授は、「ワクチンの接種率を高め、経口用治療薬を活用しながら、漸進的かつ段階的に韓国の医療システムが準備されてきただけに、ソーシャル・ディスタンシングを緩和しなければならない」とし、「ワクチンパス(接種証明・陰性確認制)などについて、手続き的な正当性と科学的な根拠を用意することも極めて重要だろう」と指摘した。
一方、この日の新型コロナの重症患者と新規感染者は減少傾向を示した。中央防疫対策本部の集計によると、7日0時現在での新規確診者は3717人。4日(3023人)以来3日ぶりに再び3000人台となった。重症患者は839人で、前日より43人減った。前日午後5時現在での全国の新型コロナの重症病床稼動率は53%で、前日比で1.8ポイント下がった。