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韓国、重症患者1000人台に…「重症患者だけでなく一般診療まで麻痺直前」

登録:2021-12-20 02:37 修正:2021-12-20 18:04
政府の病床確保対策、思うように効果上がらず 
新規感染者の減少と重症者の増加は時間差のため 
重症患者、1~2週間前の感染者数と比例 
病床稼働率、臨界値の75%を超えたが 
政府の「病床効率化対策」に医協「反対」 
新型コロナウイルス感染症の重症患者が125人で過去最多を記録した今月19日午前、新型コロナ専門病院のソウル中浪区のソウル医療院に仁川南東消防署の救急車に乗った新型コロナ患者が者が移送されている/聯合ニュース

 週末の間に新型コロナウイルス感染症の新規感染者は減ったが、重症患者は増え、初めて1000人を超えた。韓国政府の相次ぐ行政命令にも関わらず、新型コロナ患者のための病床の確保は遅々として進まず、保健医療の現場は非常事態となっている。

 中央防疫対策本部(防対本)は19日0時現在、重症患者数は1025人と発表した。前日の重症患者が1016人で新型コロナの感染拡大以来初めて1000人を上回ってから、増加傾向が続いている。重症患者1000人は医療崩壊を防ぐ現場のマジノ線とされる。実際、防疫当局は重症患者が1000人を超えれば、全体の保健医療体制にも悪影響を及ぼしかねないと予測した。中央事故収拾本部防疫総括班長のパク・ヒャン防疫総括班長は14日、定例ブリーフィングで「重症患者が1000人以上発生すると、新型コロナ重症患者病床をさらに確保しなければならないため、他の一般診療にも影響を及ぼす可能性がある」とし、「重症患者が重症病床で治療を受けられず、中等症病床にとどまる状況もあり得る」と述べた。

 感染者数は減少したが、重症患者が増加したのは「時間差」のためだ。現在発生する重症患者は、1~2週間前に発生した新規感染者数と年齢構造の影響を受けている。12月第1週(5~11日)に60歳以上の感染者の割合が35.8%でピークに達し、その影響で週末の間に重症患者数が増えたという分析だ。疾病管理庁の資料によると、12月第3週(12~15日)は60歳以上の感染者の割合が31.7%で小幅に減少した。60歳以上人口のワクチン追加接種率が高くなった効果とみられる。19日午前0時現在、60代以上のうち3回目の接種完了率は56.5%。ソウル大学のキム・ユン教授(医療管理学)は、「先週から80歳以上の感染者の割合が減り、介護施設での集団感染も減ったため、重症患者も急増していない。当分は重症患者の増加が緩やかになるとみられる」と説明した。

 全国的に雪が降るなど寒波が押し寄せたため、検査件数が減り、新規感染者数が減った可能性があるという分析もある。同日の新規感染者数は6236人で、先週の日曜日(6689人)より少なかった。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は、「寒波と雪の影響で、検査を待っていた人たちが途中で帰宅するケースもあるが、このため、新規感染者が一時的に減ってから、来週再び増加する可能性もある」と指摘した。チョン・ウンギョン疾病管理庁長は16日、政府ソウル庁舎で開かれた中央災害安全対策本部(中対本)の緊急ブリーフィングで、「流行が悪化する場合、12月中に約1万人、来年1月中には最大2万人まで新規感染者が発生する可能性があり、流行がこのまま続く場合は、12月には1600~1800人、多くは1900人まで重症患者が発生することあり得ると予想している」と述べた。

 一方、全国の重症患者病床の稼働率は先月28日以後引き続き臨界値(75%)を上回っており、状況は良くない。前日午後5時基準で、全国の重症患者病床の稼働率は79.1%(1337床のうち1058床が使用中)。ソウルや仁川(インチョン)、京畿道など首都圏の重病患者病床の稼働率は85.9%(837床のうち719床)で、状況がさらに悪い。政府は重症患者病床があっても患者の世話をする医療スタッフが不足し、余裕病床を確保する問題などで100%活用が難しいため、稼動率が75%を上回るのは危険だと説明した。

 現場で診療に当たっている医師たちは、すでに至る所で問題が生じていると口をそろえた。オム教授(感染内科)は「前日も夜に新型コロナの重症患者2人(人工呼吸器患者1人、エクモ患者1人)が救急救命センターに運ばれてきたが、集中治療室に空きがなく、救急救命センターの陰圧隔離室で病床が空くのを待っている」とし、「既存の中等症患者のうち重症患者病床で治療しなければならない患者も待っており、現在の医療現場はマヒ寸前」だと説明した。

 現在、増えつつある重症患者を受け入れて看病する病床の確保が急がれるが、政府の病床確保はあまり進展がみられない。防疫当局が段階的な日常回復(ウィズコロナ)後、追加で確保した重症患者病床は約170床に過ぎない。焦った政府は、重症患者病床の効率を高めるため、今月17日に「新型コロナの症状発現後20日」が過ぎた重症患者は転院(ステップダウン)するよう病床運営指針を改正した。しかし、現場の医療陣が反発しており、それさえも容易ではない見込みだ。大韓医師協会は「(病状の発現から)20日が過ぎれば、新型コロナ重症患者でもほとんど感染力が低くなるが、一部でも感染力のある患者がいれば、医療機関の集団感染につながる可能性がある」として、政府の方針に反対している。これを受け、政府は「絶対的な基準ではなく、(20日が過ぎても)感染力がある可能性があるため、隔離解除の判断は現場の(医療陣の)声を聞いて調整している」と説明した。

 一方、週末には一時、疾病管理庁が管理する新型コロナの「電子問診票」の接続にエラーが発生し、検査に支障が生じた。18日、ソウル駅広場にある選別検査所などは午前9時から検査を始める予定だったが、午前10時ごろまで疾病庁のサーバーに接続できず、手書きで記録する方式で検査を行った。トラブルが発生したため、検査を受けようとした市民は氷点下の寒さの中30分近く待つなど、不便を強いられた。疾病庁は同日午前に発生した問題について、「最近、検査依頼が増え、速度を改善するため、システム機能変更を夜明けに実施して、午前9時から変わった機能に対するモニタリングを行っていたところ、予想外の負荷で(サーバーの)速度が著しく遅くなった」とし、「午前9時25分ごろに性能が改善し、9時45分からは検査依頼機能が正常化した」と説明した。

イ・ジェホ、クォン・ジダム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1023912.html韓国語原文入力:2021-12-19 20:04
訳H.J

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