2018年春、朝鮮半島を包んだあたたかい風は、2019年のハノイ朝米首脳会談の「ノーディール」で温もりを失った。朝米は依然として膠着の泥沼から抜け出せずにいるが、今年9月、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「終戦宣言」の提案以降、再び大逆転の機会をうかがっている。掴めそうで掴めない朝鮮半島の平和を手に入れるために、南北米は過去の教訓から何を学ぶべきなのか。
17日、釜山市海雲台区(プサンシ・ヘウンデグ)のウェスティン朝鮮釜山ホテルで開かれた「2021ハンギョレ-釜山国際シンポジウム セッション1」には、チョン・ヘソン元統一部次官の司会で、北京大学の李婷婷教授、仁済大学のチン・ヒグァン教授、「38ノース」編集長のジェニー・タウン氏が参加し、「朝鮮半島の平和はなぜ訪れないのか、不満の三重奏」というテーマで討論した。
参加者らは、何よりもハノイ朝米首脳会談が「ノーディール」で終わってからさらに深まった不信感を解消し、信頼構築のための朝米それぞれの努力が必要だということに共感した。李教授は、北朝鮮が終戦宣言に「肯定的な反応」を示しながらも、依然として留保的な態度を保っているのは、北朝鮮に対する関与と人権問題を同時に強調する米国のバイデン政権の曖昧な北朝鮮政策のためだと指摘した。また、北朝鮮が「米国の北朝鮮敵視政策の撤回と相互尊重の保障、不公平な二重基準(ダブルスタンダード)の撤回」を「先決条件」として掲げた点に注目し、北朝鮮がこれを身動きの幅を広げるのに活用するとともに、具体的な敵視政策の撤回を要求して、ミサイル発射などの平等な権利を主張するものと予想した。
チン教授は、今年1月に北朝鮮が朝鮮労働党第8回大会で「全国的範囲で民族解放民主主義革命を果たす」という表現を党規約から削除したことなど、内部変化があったことを強調した。また、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が10月に「米国は主敵ではない」と宣言し、7月に国連に持続可能な開発目標(SDGs)に関する「自発的国家報告書(VNR)」を提出したことなどを「驚くべき変化」と見なした。さらに、北朝鮮の変化について「私たちが北朝鮮をどう認識し、変化を変化として受け入れるかが重要」だとし、「北朝鮮が南朝鮮革命論を党規約から削除しても信頼できないのが最大の問題」だと指摘した。
タウン氏は「米国が本当に北朝鮮に望むただ一つのことは、核兵器の放棄」だとし、これを達成できなかった米国の北朝鮮政策を「根本的に見直す必要がある」と指摘した。「米国は北朝鮮を正常な国としてみなしていない」とし、「北朝鮮が核兵器を持っている限り、(米国は北朝鮮に対する)経済制裁を続けるだろうが、これまでの研究によると、制裁は経済紛争があったときは有用だが、政治的決定を変えるのにはあまり力を発揮できなかった」と述べた。そして、南アフリカ共和国が自発的に核を放棄した原因を分析し、北朝鮮に何が必要かを考えなければならないと指摘した。
討論者として参加した北韓大学院大学のキム・ドンヨプ教授は、2018年の平昌(ピョンチャン)冬季五輪を機に動き出した南北関係は、朝鮮半島で実質的な「平和の始まり」だったとし、9・19南北軍事合意で現れた「軍事的アプローチ」の重要性を強調した。彼は「力による平和」というアプローチと「(朝鮮半島の平和に対する)根拠のない楽観の中で公正でない(韓国政府の朝米への)仲裁」が問題だったと指摘した。釜山大学のチャ・チャンフン教授は、南北米がそれぞれ「自分たちだけの神話に閉じ込められていた」と述べた。
キム・ヒョンギョン文化放送(MBC)統一放送研究所所長は、北朝鮮核問題が提起された過去30年間、「失敗しなかった交渉」はなかったとし、これは「(米国が)間欠的に集中した結果」だと指摘した。また、非核化交渉のテーブルに「人権問題」などあまりにも多くの議題が上がれば、「米国は一体何を望んでいるのかという根本問題に対する疑念を抱かざるを得ない」とし、非核化問題に集中する必要があると助言した。